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顎関節症で耳が痛いときの原因は?自分でできる対処法や病院での治療法について解説
2025年12月19日

顎関節症は顎の関節や筋肉に不調が起こる病気ですが、実は耳の痛みや耳鳴り、めまいなどの症状を伴うことも少なくありません。顎と耳は解剖学的に近く、筋肉や神経も関わり合っているため、顎にトラブルが生じると耳にまで影響が及ぶことがあるのです。この記事では、顎関節症と耳の痛みの関係性について詳しく解説します。耳の痛みを和らげる対処法や医療機関での治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
顎関節症で耳が痛くなる原因

顎関節症になると、口の開け閉めがスムーズにいかなくなるだけでなく、耳の痛みや耳鳴りなどの不快な症状が出ることがあります。その主な原因として挙げられるのが、以下の4つです。
- 顎関節と耳の組織の関係性
- 関節円板の異常
- 筋肉の緊張
- 神経への刺激
ここでは上記4つの原因について解説します。
顎関節と耳の組織の関係性
顎関節と耳は解剖学的に非常に近い場所にあり、さらに発生学的にも同じ組織から作られたという共通点を持っています。顎を動かす咀嚼筋や耳の奥で音を伝える小さな骨(耳小骨)は同じ由来を持ち、互いに影響を与えやすい関係にあります。
そのため、顎関節に炎症や負担がかかると、その刺激が耳に伝わり「耳の痛み」や「耳詰まり感」「耳鳴り」といった症状として現れるのです。顎関節は耳の穴のすぐ前にあるため、少しの異常でも耳の感覚に直結しやすい特徴があります。
関節円板の異常
顎関節の中にある『関節円板』は、クッションの役割を果たす組織です。本来は顎の動きをスムーズにする役割を担っていますが、この円板がずれたり前に押し出されたりすると、顎の動きに不具合が起こります。口を開閉するたびに骨が円板を圧迫するようになり、顎関節に炎症や変形が起こる場合もあります。
このときに生じる痛みは顎だけでなく、すぐそばにある耳にまで波及して「耳の奥が痛い」と感じることがあるのです。耳の痛みが慢性的に続く場合、関節円板の異常が関係しているケースも少なくありません。
筋肉の緊張
顎を動かす筋肉、特に咬筋や側頭筋などは、噛みしめや食いしばりによって強い緊張状態になることがあります。これが長時間続くと筋肉に疲労がたまり、血流の悪化や炎症を引き起こします。その結果、耳の周囲に圧迫感や痛みが生じることがあるのです。特にストレスや寝ている間の歯ぎしりによって筋肉が過緊張を起こすと、耳の奥がジーンと痛んだり、耳が詰まったような感覚につながります。顎関節症による耳の症状は、こうした筋肉の緊張が原因となることも多いのです。
神経への刺激
顎関節の周辺には、顔や顎の感覚をつかさどる三叉神経や表情を動かす顔面神経などが走っています。顎関節に異常があると、これらの神経が圧迫されたり刺激を受けたりしやすくなります。その結果、本来は顎で感じるはずの痛みが「耳の痛み」として伝わることがあるのです。耳の奥がズキズキ痛むのに耳鼻科で異常が見つからない場合、神経が顎関節からの刺激を痛みとして耳に伝えている可能性が考えられるでしょう。
顎関節症で起こる耳の痛みや関連症状

顎関節症で起こる耳の痛みや関連症状として、以下が挙げられます。
- 耳の奥のズキズキとした痛み
- 耳の圧迫感・詰まったような感じ
- 耳鳴り
- 難聴
- めまい
ここでは上記5つの症状についてそれぞれ解説します。
耳の奥のズキズキとした痛み
顎関節のすぐ近くには咀嚼筋や靭帯が存在しており、炎症や緊張が強まるとその影響が耳の奥に響くことがあります。そのため、食事中に硬いものを噛んだときや大きく口を開けたときに「ズキッ」と鋭い痛みを感じることがあるのです。
痛みの種類は人によって異なり、うずくように持続する場合や、一瞬強く走るような場合もあります。耳鼻科で異常が見つからず、耳の奥が慢性的に痛むときには、顎関節症が関係している可能性があります。
耳の圧迫感・詰まったような感じ
耳の奥が「ふさがっているような感じ」や「水が入ったような圧迫感」を覚えるのも顎関節症の症状の一つです。顎関節に炎症や腫れがあると、その周囲の組織が耳の穴の通り道である外耳道に影響を与え、耳が狭くなったように感じることがあります。耳鼻科で検査をしても鼓膜や耳管に異常が見られない場合、顎関節の不調が隠れた原因になっている可能性があります。
耳鳴り
「キーン」とした高い音や「ザーザー」といった雑音が耳に響く耳鳴りも、顎関節症で起こることがあります。顎関節の歪みや炎症が側頭骨を介して内耳に影響を与えると、耳の奥で雑音を感知してしまうのです。さらに、リンパの流れが滞ることで血流や神経伝達に異常が生じ、耳鳴りが強まることもあります。顎を動かすたびに雑音が耳の中に響くように感じる場合は、顎関節症による影響を疑いましょう。
難聴
顎関節症では、耳の奥にある神経や内耳の器官に影響が及び、音が聞き取りにくくなることがあります。これは、顎関節の歪みや炎症が神経の働きを妨げるためです。鼓膜や耳小骨に異常がなくても、顎関節の不調からくる難聴が発生するケースがあります。特に「耳が詰まって聞こえにくい」「音がこもって響く」といった感覚が続くときには、耳そのものではなく顎関節の問題が関係している可能性があります。
めまい
めまいにはぐるぐる回るような『回転性』と、ふらふらする『浮動性』がありますが、顎関節症で多いのは浮動性のめまいです。顎関節は側頭骨の一部とつながっており、その内部にある三半規管は体のバランスを保つ重要な器官です。顎関節に歪みや炎症が生じると、その刺激が三半規管に伝わり、平衡感覚に影響を与えることがあります。その結果、立ち上がったときや歩いているときにふわっと揺れるような感覚が現れることがあるのです。
顎関節症が原因で耳が痛いときの対処法

顎関節症が原因で耳が痛いときには、以下の対処法を試してみるとよいでしょう。
- 硬い食べ物を避ける
- マウスピースやナイトガードを使用する
- 顎周辺の筋肉をマッサージする
- 開口ストレッチをする
- ストレスを軽減する
- 痛みがある場合は患部を冷やす
- 医療機関を受診する
ここでは上記7つの対処法についてそれぞれ解説します。
硬い食べ物を避ける
顎関節症のときに特に避けるべきことが、硬い食べ物を無理に噛むことです。するめ、フランスパン、硬い肉などを強く噛むと、顎関節に過度な負担がかかり、耳の奥の痛みを悪化させる原因となります。反対に、柔らかく煮込んだ料理や細かく刻んだ食材を選ぶことで、顎の動きを最小限に抑えられます。また、ガムを噛む習慣もなるべく控えるのが望ましいです。顎を休める時間を増やすことで、炎症の回復につながります。
マウスピースやナイトガードを使用する
就寝中に歯ぎしりや食いしばりをする癖がある人は、マウスピースやナイトガードを使うことで症状が緩和する場合があります。これらは歯科医院で作製できる装置で、顎関節の位置を安定させ、筋肉の過緊張を和らげる働きがあります。
特に夜間は無意識のうちに強く食いしばることが多く、朝起きたときに耳や顎に違和感を覚える人も少なくありません。マウスピースを装着することで力のかかり方を分散させ、耳の痛みや顎の疲労感を軽減する効果が期待できます。
顎周辺の筋肉をマッサージする
顎を動かす筋肉が緊張すると、耳の奥に響く痛みや圧迫感を引き起こすことがあるため、顎の周囲をやさしくマッサージして血流を促す方法が有効です。こめかみや耳の前、頬のあたりを指の腹で円を描くようにゆっくり押しほぐしましょう。強く押しすぎると逆に炎症を悪化させる恐れがあるため、心地よい程度の力で行うことが大切です。日常的に取り入れることで筋肉の緊張が和らぎ、耳の不快感の改善につながります。
開口ストレッチをする
顎関節症のセルフケアとしてよく行われるのが『開口ストレッチ』です。以下の手順で行ってみましょう。
- こめかみに手を添えて顎を右に動かす
- 顎を左に動かす
- 顎を前に突き出す
- 大きく口を開ける
1回につき10回ほどを1セットとして、1日に数回取り入れるのが効果的です。程よい負荷を感じる程度に継続してみましょう。
ストレスを軽減する
顎関節症による耳の痛みは、精神的なストレスと深い関係があります。ストレスが溜まると、無意識に歯を食いしばったり顎周りの筋肉が緊張したりしてしまい、その結果、耳の奥に響く痛みが出やすくなります。
対処法としては、まずリラックスできる習慣を取り入れることが大切です。例えば、深呼吸やストレッチ、アロマや音楽を使ったリラックス法、軽い運動などが挙げられます。ストレスをため込まないように意識することで、顎関節や耳への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
痛みがある場合は患部を冷やす
強い痛みや急な炎症が出ているときは、患部を冷やすのが有効です。保冷剤や濡れタオルを使い、10〜15分ほど当てて休憩を挟みながら繰り返し冷やします。ただし氷を直接肌に当てると凍傷になる恐れがあるため、必ずタオルなどで包んで使うことが大切です。冷やすことで血流が抑えられ、耳に響く痛みの軽減にもつながります。
医療機関を受診する
セルフケアを続けても耳の痛みが改善しない場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。まず耳に異常がないかを確認するために耳鼻科で検査を受け、その上で問題が見つからなければ歯科や口腔外科を受診するとよいでしょう。
受診時には「いつから痛みがあるのか」「どんなときに強くなるのか」などを具体的に伝えることが大切です。適切な診断と治療を受けることで、耳の痛みを和らげることにつながります。
顎関節症の治療方法

顎関節症の主な治療方法として、以下の4つが挙げられます。
- スプリント療法
- 低周波治療
- 薬物療法
- 生活習慣の改善
ここでは上記4つの治療方法についてそれぞれ解説します。
スプリント療法
スプリント療法とは、歯科医院で作製するマウスピースを装着して顎への負担軽減を図る治療方法です。特に就寝中に使用されることが多く、無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりから顎関節を守ります。マウスピースを装着することで顎関節の位置が正しく保たれ、関節や筋肉への負担が減少し、耳や顎の痛みの軽減につながります。比較的安全性が高く、保険が適用される場合もあるため、初期の治療として選ばれることが多い方法です。
低周波治療
低周波治療は、電気的な刺激を利用して血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる方法です。専用の機器を用いて顎周囲に微弱な電流を流すことで、筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、ほぐれます。これにより、痛みの原因となる炎症や疲労が改善されやすくなります。
薬物療法
薬物療法は、症状を和らげるために行われる治療方法です。処方される薬には以下のような種類があります。
- 抗炎症薬
- 炎症が生じている場合に処方される
- 筋弛緩薬
- 筋肉の過緊張が原因の場合に処方される
- 鎮痛薬
- 強い痛みが生じている場合に処方される
薬物療法の目的はあくまで一時的な症状の緩和であるため、根本的な改善のためには他の治療と組み合わせることが大切です。
生活習慣の改善
顎関節症の発症や悪化には、日々の習慣や姿勢が深く関わっています。意識すべきポイントとして以下が挙げられます。
- 硬い食べ物を避けて顎への負担を減らす
- 猫背や前傾姿勢を改善する
- 肩・首のストレッチを行う
- 深呼吸や軽い運動などのリラックスできる習慣を取り入れる
顎関節に負担をかける生活習慣を改善することで、次第に症状が和らぐ場合があります。生活習慣の改善は即効性のあるものではないものの、再発予防の観点からも重要な治療方法の一つです。
まとめ
顎関節症による耳の痛みは、関節や筋肉、神経が複雑に影響し合って起こる症状です。硬い食べ物を避ける、マウスピースを使用する、ストレッチやマッサージを行うといったセルフケアが有効な場合もありますが、症状が続くときは歯科や口腔外科などの専門医に相談することが大切です。生活習慣の改善と専門的な治療を組み合わせることで、耳の痛みを和らげ、再発予防にもつながります。
親知らず・顎関節症クリニック銀座では、顎関節症の治療に対応しています。保険診療・自由診療のどちらにも対応しており、さらに生活改善のアドバイスも行っているため、顎関節や耳の痛みにお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
