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顎関節症で見た目が変わる?起こり得るトラブルを理解し治療・予防につなげよう
2025年12月16日

顎関節症は、顎関節や顎の運動に関わる筋肉に異常が生じる疾患で、場合によっては顔の見た目に影響するケースがあります。この場合、放置することで顎変形症を引き起こしたり、外科手術が必要になったりする恐れがあるため、早めの対処が必要です。この記事では、顎関節症で見た目が変わる原因や早めに受診するためのセルフチェックについて紹介します。顎関節症で顎が歪んだと感じる方や、予防法を知りたい方は参考にしてください。
顎関節症で起こり得る見た目の変化

顎関節症では、以下のような見た目の変化が起こる可能性があります。
- 顎のラインに左右差が生まれる
- 下の顎が後方に引っ込む
- 顔全体が歪む
- 目の大きさが異なって見える
- エラが発達して大きくなる
それぞれの変化について詳しく解説します。
顎のラインに左右差が生まれる
顎関節症で片側の顎関節のみに機能障害が生じると、フェイスラインに左右差が生まれる恐れがあります。片噛み(頬のどちらか片方で咀嚼する)癖がある方や、歯列の乱れによる噛み合わせの問題がある方では、顎関節に偏った力がかかり、顎が左右にズレることがあります。
また、顎がズレることでさらに噛みやすいほうで噛もうとする癖がつく可能性もあり、悪循環に陥るケースも少なくありません。さらに、閉口時の見た目が普通でも、口を開けた際に顎がズレる場合もあります。
下の顎が後方に引っ込む
下の顎が後方に引っ込む下顎後退が原因で、顎関節症が引き起こされることがあります。
下顎後退は顎関節症のように後天的な原因で発生するケースもあれば、遺伝のように先天的な理由で生じる場合もあり、複数の要因が作用して起こる可能性が高いです。下顎後退によって下顎が後方に引っ込むと、口元のもたつきや二重顎につながり、フェイスラインがぼやけて見える恐れがあります。
顔全体が歪む
顎関節症で顎のズレや下顎後退、エラ張りなどが同時に生じると、顔全体が歪んで見える恐れがあります。
顔の歪みがある場合、顎変形症を引き起こしている可能性もあり、嚥下や睡眠に問題が生じる可能性も否定できません。顎関節症による顔の歪みは、筋肉に負荷をかけることで頭痛や首・肩のコリを引き起こすケースもあります。
目の大きさが異なって見える
顎関節症によって顎がズレると、左右の目が異なる大きさに見える場合があります。
これは、左右の咬筋のバランスの崩れに伴って目元が歪むためで、顔の印象が変わる原因にもなり得ます。目元は特に顔の印象に大きく影響しますが、顔の左右差や輪郭の歪みを伴うことで顔の見た目がさらに違って見えるケースもあるでしょう。
エラが発達して大きくなる
顎関節症の原因となる噛み合わせの乱れや歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)などは、エラの部分に位置する咬筋に大きな負担をかけるため、筋肉が発達してエラが張る可能性があります。
顎関節症によってエラが発達した場合には、ボトックス(ボツリヌス毒素)を咬筋に注射することで、筋肉を縮小する作用が期待できます。
顎関節の変化で起こり得る問題

顎関節が変化すると、以下の問題が起こりやすくなります。
- 表情が不自然になる
- ポカン口の原因になる
- 食べ物を口の片側で噛む癖がつく
- 頬粘膜圧痕が生じる
- 舌を噛みやすくなる
それぞれの問題について詳しく解説します。
表情が不自然になる
顎関節症では、筋肉の緊張や痛み、口の開けづらさなどが原因で表情が不自然になる場合があります。
顎関節症による噛み合わせの乱れや筋肉への負荷は、咀嚼筋だけではなく表情筋のバランスにも影響し、表情の歪みを引き起こす恐れがあります。また症状が悪化すると、安静状態でも痛みを伴う可能性があり、表情を上手く作れなくなるケースは少なくありません。さらに、口を大きく開けて笑うことが難しくなるため、笑顔が引きつって見える場合もあるでしょう。
ポカン口の原因になる
顎関節症では口呼吸につながる可能性があり、ポカン口の原因になりやすいです。
鼻詰まりや口周りのバランスの乱れなど、顎関節症がポカン口を引き起こす理由はさまざまですが、虫歯・歯周病や睡眠時無呼吸症候群のリスク上昇、歯並び・口臭の悪化などさまざまなデメリットがあります。顎関節症の根本的な治療のほか、歯列矯正や噛み合わせの改善などの治療が必要になります。
食べ物を口の片側で噛む癖がつく
片噛みは顎関節の変化を引き起こしますが、反対に顎関節の変化によって片噛みが悪化するケースもあります。顎関節症によって顎関節にズレが生じると、噛みやすい方の頬で咀嚼をするようになり、さらにズレを悪化させる恐れがあります。片噛みの原因は顎関節症のほか、虫歯・歯周病や、噛み合わせ・歯並びの乱れなど多くの要因が考えられるため、早めの対処が必要です。
頬粘膜圧痕が生じる
顎関節症では、歯が頬の内側の粘膜と接触して白い筋になる頬粘膜圧痕が生じるケースがあります。頬粘膜圧痕は、顔の歪みや、歯並び・噛み合わせの乱れ、食いしばりなどが原因で引き起こされ、痛みや腫れを伴う場合もあります。また、口内炎に発展し食事や会話の際の不快感に悩まされる事態にもなりかねません。
舌を噛みやすくなる
顎関節症によって顔の歪みが生じると、舌を噛みやすくなるケースもあるでしょう。顎がズレて上手く口が動かせない、舌の位置が不安定などの理由で舌を噛む頻度が増えると、口内炎が慢性化したり、食事がストレスになったりする恐れがあります。できるだけ舌を噛まないように意識しながら過ごし、早めに医療機関に相談することをおすすめします。
顎関節症の4つのステージ(病態分類)

顎関節症には、病態分類ごとの4つのステージがあります。
- 咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)
-
- 顎の運動に必要な筋肉に問題が生じている。
- 筋痛や顎の動かしづらさがみられる。
- 顎関節痛障害(Ⅱ型)
-
- 顎関節の繊維組織が捻挫のような状態になっている。
- 関節に痛みや機能障害が生じる。
- 顎関節円板障害(Ⅲ型)
-
- 顎関節の円板にズレや形状変化が起こる。
- 開口時の異音や開口障害がみられる。
- 変形性顎関節症(Ⅳ型)
-
- 関節円板のズレが慢性化し、関節軟骨のすり減りや顎骨の変形が生じている。
- 痛み・開口障害がみられ、ジャリジャリとした捻髪音がみられる。
顎関節症で見た目の変化がみられる状態は、顎関節円板障害(Ⅲ型)または変形性顎関節症(Ⅳ型)に分類されます。病態が進行するほど治療の難易度が上がり、日常生活への影響も大きくなるため、見た目の変化がみられる前に対処することが大切です。
見た目が変わる前に!顎関節症のセルフチェック

顎関節症は、見た目が変わる前に治療を受けることで重症化予防につながります。以下に顎関節症のセルフチェック項目をまとめたため、受診の目安にしてください。
- 口が開けづらい
- 口を開閉するとカクカク・ミシミシなどの音がする
- 食事や会話で顎が疲れやすい
- 顎がよく外れる
- 口の開閉時に顎の痛みがある
- 硬いものを食べると顎が痛む
- 物を噛むとこめかみ・頭・耳に痛みを感じることがある
- 原因不明の頭痛や、肩・首のコリがある
- 口を開けたときに縦に3本指(人差し指、中指、薬指)が入らない
顎関節症を放置すると見た目が変わるリスクが高まり、顎関節の機能障害によって日常生活に支障をきたすケースもあります。また稀ではありますが、関節円板や顎骨の変形、癒着などがあると外科手術が必要になる恐れもあるため、当てはまる症状が1つでもある方は早めに医療機関を受診してください。
見た目の変化を伴う顎関節症の治療法

見た目の変化を伴う顎関節症の治療には、主に以下の方法があります。
- スプリント療法
- ボトックス治療
- 歯列矯正
- 外科手術
- 理学療法
それぞれの治療法について解説します。
スプリント療法
スプリント療法とは、ブラキシズムや噛み合わせの不具合が原因で発生する顎関節症を治療するために、専用のマウスピースを使用して顎や歯の負担軽減を図る方法です。
一部の歯や顎関節に負担が集中している状態から、歯全体を使用して咀嚼する状態に改善し、顎にかかる力を分散させます。治療には時間がかかるケースもありますが、顎関節や筋肉の負担を緩和し、顎関節症の治療を受けやすくする効果が期待できます。
ボトックス治療
顎関節症のボトックス治療は、咬筋や側頭筋などの筋肉を緩め、痛みや強張りなどの症状を改善する目的で行われます。
強いブラキシズムが原因で顎関節症を引き起こしているケースでは、ボトックス治療によって筋肉の緊張を和らげることで、睡眠時に顎にかかる負担を軽減する効果があります。ボトックス治療は効果の持続期間に限りがあり、顎関節症を根本的に治すことは難しいため、顎関節への負担を緩和しながら、他の治療や原因への対処など、多方向からのアプローチを並行することが大切です。
歯列矯正
顎の歪みの原因が歯列や噛み合わせの乱れが原因の場合、歯列矯正で治療できる可能性があります。歯並びや噛み合わせを整えることで、顎の位置を適切な状態に改善し、症状を緩和する効果が期待できます。ただし、歯列矯正のみで重度の顎関節症に対応することは難しく、顎骨の形が変わってしまっているケースや、長期的な筋肉の不具合によるバランスの崩れが原因の場合は、他の治療を併用する必要性が高いです。
外科手術
顎関節症が重症化した場合、外科手術が必要になる可能性があり、以下の方法があります。
- 関節鏡視下手術
- 関節腔洗浄療法
- パンピング・マニピュレーション
顎関節症の外科手術では、関節円板を修復したり、関節の癒着を剥がしたりする処置を行います。主に、ボトックスや口腔内装置を用いた治療で改善が見られない場合の顎関節症に対して必要で、適応例はあまり多くありませんが選択肢となり得ます。顎関節症は痛みがないケースもありますが、悪化を防ぐためにも気になる症状がある場合は早めに対処しましょう。
理学療法
顎関節症の理学療法では、物理療法と運動療法を組み合わせて顎関節や筋肉の機能回復を目指します。具体的な方法は以下の通りです。
- マッサージ
- ストレッチ
- 関節可動域訓練
必要に応じて、筋肉の緊張や痛みの緩和を目的とした温熱療法・電気刺激療法・レーザー照射などが行われるケースもあります。自己流のマッサージやストレッチは症状を悪化させる恐れがあるため、理学療法は専門家の指導のもと行うようにしましょう。
顎関節症で見た目が変わらないようにするために

顎関節症による見た目の変化を予防するために、以下の点に注意しましょう。
- 食事の際は左右両方の歯で咀嚼をする
- 頬杖をつかないように意識する
- 仰向けで寝る
- 硬い食べ物は食べすぎに注意
- 早めに医療機関を受診する
それぞれの工夫について詳しく解説します。
食事の際は左右両方の歯で咀嚼をする
片噛みは顎の歪みを引き起こす原因のひとつであるため、食事の際は左右の歯でバランスよく咀嚼するように意識しましょう。
虫歯や歯周病によって片噛みする傾向がある場合は、早めに歯科治療を受け、不具合を解消する必要があります。癖や歯ぎしり・食いしばりなど、片噛みにつながる原因によって対処法が異なるため、歯科医師に相談することをおすすめします。
頬杖をつかないように意識する
日頃から頬杖をつく方は、顎のズレを引き起こしやすいため、やめる意識をもちましょう。スマートフォンのホーム画面やパソコンのディスプレイなど、目につく位置に「頬杖をつかない」と書いたメモを配置するのがおすすめです。また、姿勢を正すと頬杖が自然に改善され、顎関節症の予防効果も期待できます。
仰向けで寝る
うつ伏せ寝は顎関節への負担や顔の歪みの原因になるため、仰向け寝が推奨されます。また横向き寝も、顎の片側に負荷をかけて顎関節症を引き起こすリスクを高めます。また、高さのある枕や硬い枕は顎にストレスをかける恐れがあるため、睡眠時の姿勢と寝具の選び方を工夫することで顎関節症の予防に努めましょう。
硬い食べ物は食べすぎに注意
日常的に硬いものを食べると顎関節症になるリスクが高まるため、注意が必要です。特に、するめ・ジャーキー・せんべいなど、顎に大きな負荷がかかる食べ物が好きな方は、食べすぎに気を付けましょう。顎の健康を保つためには、硬い食べ物を力を入れて噛むのではなく、咀嚼回数を増やす意識が大切です。
早めに医療機関を受診する
顎関節症で見た目が変わるのを防ぐために、気になる症状がある場合に早めに医療機関を受診しましょう。
痛みがひどい場合は痛み止めや冷やすなどで一時的な応急処置が可能ですが、生活が不便になりストレスが溜まるとさらに悪化を招く恐れがあります。顔の輪郭が変わる状態の顎関節症はすでに重症化している可能性が高いため、音がする・痛みがある・口が開けづらいなどの症状が見られた場合はできるだけすぐに対処してください。
まとめ
顎関節症で顎がズレると、輪郭の歪みや表情の変化を引き起こす恐れがあります。顔に違和感があると人前に出ることに抵抗を感じ、ストレスを溜める原因にもなるため、早めの対処や予防が大切です。親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)では、スプリント療法やボトックス治療に加え、顎関節症に対する生活習慣のアドバイスも行っております。顎関節症の症状にお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
