口の中のけがは何科を受診?症状別・緊急度別の判断基準
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転んで口の中を切ってしまった、歯が折れた、顎が痛くて口が開かない——このような口の中のけがや症状が起きた時、「何科を受診すればいいのか」と迷った経験はありませんか?口腔領域のけがは、外科なのか歯科なのか、それとも耳鼻咽喉科なのか、判断に困る場面が多くあります。適切でない診療科を選んでしまうと、症状に応じた治療が受けられず、回復の遅れにもつながりかねません。
この記事では、口の中のけがにおける適切な診療科の選び方を、症状別に詳しく解説します。緊急性の判断方法から、専門的な治療が必要な場合の対応まで、いざという時に役立つ情報をお伝えします。正しい知識を身につけて、迅速で適切な医療機関への受診につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。
口の中のけがで受診する診療科は?

口の中や口周りのけがでは、歯科口腔外科への受診をおすすめします。一般的な外科や内科ではなく、口腔領域に精通した専門科への相談が、適切な治療への近道となります。
おすすめは『歯科口腔外科』
口の中のけがには『歯科口腔外科』が第一選択となります。口腔内は歯や歯茎、舌、唇など複雑な構造が密集しているため、これらの治療には専門的な知識と技術が必要です。歯科口腔外科では、以下のような症状に対応しています。
- 転倒や事故による歯の破折・脱落
- 唇や舌の深い切り傷
- 顎の痛みや開口困難
- 口の中の腫れや出血
一般の外科では、口腔内の詳細な構造に対する専門性が限られる場合があります。歯科口腔外科なら、縫合技術から歯の保存治療まで、包括的な対応が期待できるでしょう。
迷った時の判断基準
症状の部位と重症度が判断の鍵となります。
迷った場合でも、まずは歯科口腔外科への相談で、適切な医療機関の紹介も含めて対応してもらえるでしょう。
判断基準として以下の点を参考にしてください。
- 歯・歯茎・口の中
- 歯科口腔外科
- 顎・顔面の変形
- 歯科口腔外科、形成外科
- 唇の外側
- 形成外科、歯科口腔外科
- 激しい出血・呼吸困難
- 救急外来
迷った際には、電話での相談も有効です。症状を説明することで、受診の緊急性や適切な診療科についてアドバイスを受けられる場合があります。
症状別!受診する診療科の選び方

口の中のけがといっても、その症状や部位によって緊急度や適切な診療科が変わります。ここでは、よくある症状別に受診先を詳しく解説します。
歯が折れた・抜けた場合
歯の外傷では、できる限り早い歯科口腔外科への受診が重要です。 歯が完全に抜けてしまっても、適切な保存と処置により元に戻せる可能性があります。
- 【緊急度の高い症状】
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- 歯が完全に抜け落ちた
- 歯が大きく欠けて神経が見えている
- 歯がぐらついて今にも抜けそう
- 激しい痛みや出血がある
応急処置のポイント
抜けた歯は乾燥させないことが大切です。ただし水道水で洗うのは避け、冷たい牛乳(ロングライフミルクや低脂肪乳でないもの)やドラッグストアで購入できる生理食塩水に浸し、できるだけ早く受診してください。
牛乳などが手に入らない場合は、抜けた歯を口の中に含む方法もありますが、誤飲や汚染の恐れがあるため最終手段となります。歯の先端部分のみが欠けた場合でも、放置すると細菌感染のリスクがあるため、痛みがなくても早めに受診しましょう。
舌や唇を深く切った場合
舌や唇の外傷も歯科口腔外科が専門領域となります。とりわけ深い切り傷や出血が止まらない時は、縫合処置が必要なケースがあります。
- 【受診の目安】
-
- 15分以上圧迫しても出血が止まらない
- 切り傷が深く、傷口が開いている状態
- 舌の動きに制限がある
- 飲み込みに支障がある
舌は血流が豊富な組織のため、軽微に見える傷でも意外に出血量が多い場合があります。まずは清潔なガーゼやタオルで圧迫止血を行い、落ち着いて状況を判断してください。唇の外側の傷では、見た目への影響も考慮した治療が求められます。歯科口腔外科なら、口唇の機能と審美性の両面を考慮した治療が期待できます。
顎が開かない・痛む場合
顎の症状は顎関節症の可能性があり、歯科口腔外科での診察が適しています。顎関節は噛む動作や口の開閉に関わる重要な部位で、専門的な診断と治療が必要です。
- 【顎関節症の主な症状】
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- 口を開ける時に痛みがある
- 口が指2本分程度しか開かない
- 顎を動かすとカクカク音がする
- 噛み合わせに違和感がある
外傷による顎の脱臼も、歯科口腔外科で対応可能です。顎が外れた状態は、無理に動かそうとせず、できるだけ安静にして受診してください。顎の症状は日常生活に大きく影響するため、我慢せずに早めの相談をおすすめします。
口内炎・できものがある場合
口内炎は歯科または耳鼻咽喉科のどちらでも対応可能ですが、迷った際は歯科口腔外科への相談をおすすめします。また、長期間治らない口内炎については、より詳しい検査が必要なケースがあります。
- 【受診を検討したほうがよい症状】
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- 2週間以上治らない口内炎
- 急激に大きくなるできもの
- 触ると硬いしこりがある
- 出血を繰り返すできもの
一般的な口内炎は1〜2週間で自然治癒しますが、長期間続く場合や症状が悪化する場合は、他の疾患の可能性も考慮する必要があるかもしれません。歯や義歯が当たることで生じる口内炎は、根本的な原因への対処も含めて歯科口腔外科で包括的な治療が受けられます。
口の中のけがで緊急受診が必要な症状

口の中のけがには、命に関わる重篤な症状から、様子を見てもよい軽微なものまでさまざまです。適切な判断を下し、必要な場合は迅速な対応を心がけましょう。
命に関わる危険な症状
以下の症状がある時は、直ちに救急外来への受診が必要です。これらは呼吸や生命に直結する恐れがあるため、迷わず119番通報も検討してください。
- 【緊急度の高い症状】
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- 15分以上圧迫しても止まらない大量出血
- 呼吸困難や息苦しさ
- 飲み込みが困難で唾液も飲めない
- 顎の骨が明らかにずれている
- 意識がもうろうとしている
とりわけ舌や喉の奥の腫れは、気道を圧迫して呼吸困難を引き起こすケースがあります。声がかすれる、息が吸いにくいといった症状があれば、躊躇せず救急車を呼んでください。顎の骨折では、噛み合わせが大きくずれたり口がまったく開かなくなったりする場合があり、このような時は総合病院での精密検査と治療が必要となります。
救急外来を受診するタイミング
夜間や休日に症状が現れた場合の判断基準を把握しておくことが大切です。緊急性の判断に迷った時は、対応地域であれば『#7119(救急安心センター事業)』への相談も活用できます。
- 【救急外来受診の目安】
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- 出血が止まらず、貧血症状がある
- 強い痛みで食事や水分摂取ができない
- 顔面の腫れが急速に拡大している
- 発熱を伴う激しい痛み
一方で、軽微な切り傷や軽度の痛みであれば、応急処置を行ったうえで翌日の歯科口腔外科受診でも対応可能となります。ただし、子どもは大人よりも症状の変化が早い傾向があるため、心配な症状があれば早めの受診を心がけましょう。
口の中のけがで間違いやすい診療科の選択パターン

口の中のけがでは、直感的に思い浮かぶ診療科が実は適切でない場合があります。よくある誤解を解消し、適切な医療機関の選択につなげましょう。
『外傷だから外科』は間違い?
口腔内の外傷では、一般外科よりも歯科口腔外科への受診が適しています。一般外科では主に腹部や胸部、四肢の外傷を扱うため、口の中の複雑な構造や歯の治療には対応が困難な場合があります。
- 【よくある誤解のパターン】
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- 唇の縫合は形成外科がいいと思い込む
- 顎の痛みを整形外科で相談してしまう
- 口の中の出血で内科を受診する
唇の外側の傷であれば形成外科も選択肢となりますが、口の中に近い部位や歯への影響が考えられる時は、歯科口腔外科での総合的な判断が有効です。
耳鼻咽喉科との使い分け
口内炎や舌の症状では、歯科口腔外科と耳鼻咽喉科のどちらでも対応可能です。 ただし、症状の原因によって適切な診療科が変わる可能性があります。
- 歯科口腔外科が適しているケース
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- 歯や義歯が当たってできた口内炎
- 噛み合わせに関連する症状
- 歯茎に近い部位のできもの
- 耳鼻咽喉科が適しているケース
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- 喉に近い部位の症状
- 扁桃腺の腫れを伴っている場合
- 鼻づまりなど他の症状もある場合
迷ったらまず歯科口腔外科に相談し、必要に応じて他科への紹介を受けることをおすすめします。
口の中のけがに対する専門性の高い口腔外科治療

口の中のけがでは、一般的な治療とは異なる専門的なアプローチが求められます。口腔外科の専門性について理解しておくと、適切な医療機関選択に役立ちます。
口腔外科専門医とは
口腔外科専門医は、口腔領域の外科的治療において高度な専門性を持つ歯科医師です。現在、日本の歯科医師約10万人のうち、専門医を取得しているのは約5%となっています。
出典:『令和2年3月 一般社団法人日本歯科専門医機構歯科医療の専門性に関する協議・検証事業報告書』
専門医になるためには、以下のような厳しい条件をクリアする必要があります。
- 認定医
- 基本的な口腔外科研修と筆記試験合格
- 専門医
- 6年以上の専門研修と筆記・口頭試験、手術審査
- 指導医
- 専門医取得後、さらなる臨床・教育経験を積む
このような認定制度により、専門医資格は豊富な臨床経験と高い技術を備えている目安となります。
高度な治療を支える設備と技術
口腔外科治療では、精密な診断と安全な処置のために専門的な設備が活用されます。歯科用CTによる三次元画像診断により、従来のレントゲンでは分からない詳細な情報が得られます。
- 【主な専門設備】
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- 歯科用CT……顎の骨や神経の詳細な位置を把握
- 手術用顕微鏡……精密な縫合処置を可能にする
- 静脈内鎮静設備……恐怖心や痛みの軽減に寄与する
とりわけ親知らずの抜歯や顎の外傷では、神経や血管の位置を正確に把握することが重要です。専門的な画像診断により、より安全で緻密な治療計画を立てられます。
複雑な症例への対応力
一般の歯科医院では対応が困難な複雑な症例にも、専門医なら対応できる場合があります。
- 【対応可能な複雑症例】
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- 水平に埋まった親知らずの抜歯
- 複数本の同時抜歯
- 神経に近い位置の歯の処置
- 顎関節脱臼の整復
このような症例では、豊富な経験に基づく判断力と、高度な外科技術が求められます。専門医による治療で、合併症のリスクを抑えながら効率的な処置が期待できます。
専門的な治療環境と体制
口腔外科専門医のいる医療機関では、緊急時の対応や術後管理についても充実した体制が整っています。万が一の合併症への対応や、他科との連携も含めた総合的なサポートが受けられます。
- 【専門医による治療の利点】
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- 経験に基づく的確な診断
- 安全性を重視した治療計画
- 術後の経過管理とフォローアップ
- 必要に応じた他科との連携
また、患者さんの不安や恐怖心に対しても、豊富な経験から適切なサポートが提供されます。治療に対する疑問や心配事についても、専門的な知識に基づいた丁寧な説明が受けられるでしょう。
口の中のけがを予防するために

口の中のけがは適切な予防策により、そのリスクを軽減できます。日常生活とスポーツ場面での注意点を把握し、未然に防ぐ意識を持ちましょう。
日常生活での注意点
日常的な行動の見直しにより、口腔外傷のリスクを減らせます。
- 【予防のポイント】
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- 歩きながら食べ物を口に入れない
- 硬いものを歯で噛み切る習慣を避ける
- 階段や段差での転倒に注意する
- ペンやつまようじを口に入れたまま動かない
なかでも幼児期は、異物を口に入れたまま転倒する事故が多く報告されています。保護者の方は、お子さんが口に何かを入れている際の行動に注意を払いましょう。また、義歯や矯正装置を使用している方は、装置の不具合により口の中を傷つける場合があります。違和感がある時は早めに歯科医師に相談してください。
スポーツ時の口腔外傷予防
ラグビーや格闘技などの接触の多いスポーツでは、マウスガードの使用が効果的な予防策となります。競技特性に応じたマウスガードの選択により、歯の破折や顎の外傷を大幅に軽減できることが知られています。市販品もありますが、歯科医院でのオーダーメイド作製により、より快適で効果的な保護が期待できるでしょう。
また、スポーツ時の水分補給も重要です。口の中が乾燥すると粘膜が傷つきやすくなるため、こまめな水分摂取を心がけましょう。
まとめ
口の中のけがでは、迷わず歯科口腔外科への受診をおすすめします。症状の部位や重症度に関わらず、口腔領域に精通した専門医による診断と治療が、適切な回復への近道となります。とりわけ激しい出血や呼吸困難がある場合は、救急外来での緊急対応が必要です。一方で、軽微な症状であっても放置せず、早めの相談を心がけましょう。
東京銀座エリアでお困りの際は、口腔外科専門医が在籍する『親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)』へご相談ください。2025年9月に開院した当院では、歯科用CTなどの設備を備え、緊急時の対応から複雑な症例まで、幅広い口腔外傷に対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
監修歯科医師
医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
- 〔院長略歴〕
- 鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
- 〔所属学会・所属団体〕
- 歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会

