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下顎の埋伏抜歯で考慮すべき「下歯槽神経を圧迫した親知らず」 〜CT診断とSeddon分類による神経麻痺リスクの判断〜

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある【親知らず・顎関節症クリニック銀座】です。
当院は以下のような治療に特化した歯科クリニックです:
* 親知らずの抜歯
* 顎関節症の専門治療
* アスリートのための歯科治療
銀座駅から徒歩数分の立地で、アクセスも良好です。

親知らず抜歯で最も重要なのは「神経と血管」の位置
下顎の親知らず(特に水平埋伏智歯)を抜歯する際、最も慎重な対応が求められるのが下歯槽神経と下歯槽動脈の位置です。
この神経は下顎管という骨の中を通っており、抜歯操作によって圧迫・牽引・損傷されると、下唇やオトガイ部のしびれ・麻痺といった後遺症が出る可能性があります。

今回のケース:CT画像で明らかになった神経との近接
今回の患者様は、下顎の親知らずが骨内に深く埋伏しており、術前にCT撮影を実施。以下のような所見が確認されました。



歯根が下歯槽神経管と非常に近接し、一部では軽度の圧迫所見を認めました。
このような所見がある場合、術中に神経へ負担がかかることで、術後に下歯槽神経麻痺が生じる可能性があります。

神経損傷リスクを分類する「Seddon分類」とは?
神経障害の程度を分類する際に、医学的に広く用いられるのがSeddon分類(1943年)です。
以下に下歯槽神経麻痺での適用例を含めて整理します:
分類 病態 原因・状況 予後
① 神経伝導遮断(Neuropraxia) 一過性の伝導ブロック。神経自体は切れていない 軽度の圧迫や振動 数日〜数週間で自然回復
② 軸索断裂(Axonotmesis) 軸索は損傷。神経鞘は保たれている 強い圧迫・牽引・鈍的損傷 数ヶ月〜1年で回復傾向
③ 神経断裂(Neurotmesis) 神経本体・神経鞘ともに完全断裂 ドリルなどでの切断 手術が必要。自然治癒困難

手術時の判断とテクニック
今回の患者様には、神経との近接リスクについて十分に説明し、ご同意をいただいたうえで抜歯を実施しました。
* 歯冠部の露出まで慎重に骨削合
* 歯冠を小さく分割しながら撤去
* 歯根は下方に位置していたため、神経に力がかからないよう最小限の牽引で除去
その結果、術後の神経麻痺もなく経過は良好でした。

なぜ麻痺が出る人・出ない人がいるのか?
これは非常に興味深いところです。
実際、CT上で神経と明らかに接しているにもかかわらず麻痺が起きない例もあれば、距離があるにもかかわらず麻痺が生じる例もあります。
個人ごとの神経の走行、骨の硬さ、感覚神経の閾値など、さまざまな要因が複合的に関与していると考えられています。

当院の対応とまとめ
当院では、下歯槽神経に近接した高難度の親知らずの抜歯にも対応しております。
*  CTによる事前の神経走行の可視化
*  リスク説明と丁寧なインフォームドコンセント
*  リスクに応じた術式の選択と実行
「下唇がしびれたまま」「抜歯していいのか不安」「CTを撮った方が良いのかわからない」といったお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

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監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会