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親知らず抜歯で気になる「下歯槽神経麻痺」と「舌神経麻痺」 下の親知らずを抜く前に知っておきたい大切なこと

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある
【親知らず・顎関節症クリニック銀座(通称:オヤアゴクリニック)】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
* 親知らずの抜歯
* 顎関節症の治療
* アスリートのための歯科治療

親知らずの抜歯、特に下の親知らずの抜歯では、いくつか注意すべき点があります。
その中でも、患者さまが特に心配されることの一つが神経麻痺です。
下顎の親知らずの近くには、主に次の2つの神経があります。
ひとつは下歯槽神経(かしそうしんけい)、もうひとつは舌神経(ぜつしんけい)です。これらはどちらも感覚に関わる大切な神経であり、親知らずの位置や抜歯の難易度によっては、抜歯後にしびれや感覚の違和感が出ることがあります。

下歯槽神経とは?

下歯槽神経は、下あごの骨の中を走る神経で、下唇・あご先・下の歯ぐき・歯などの感覚に関わっています。
この神経に影響が出ると、
* 下唇がしびれる
* あご先の感覚が鈍い
* 歯ぐきの感覚がいつもと違う
* ピリピリ、ジンジンする
といった症状が出ることがあります。

舌神経とは?

舌神経は、舌の横から内側あたりの感覚に関係する神経で、舌のしびれ、違和感、味覚の変化などに関わることがあります。
特に下の親知らずの抜歯では、歯の内側(舌側)に近い位置をこの神経が走っているため、歯の向きや骨の形、神経の走行によっては注意が必要です。舌神経は画像だけで完全に位置を把握するのが難しいこともあり、下歯槽神経とはまた違った慎重さが求められます。

神経麻痺はどのくらいの頻度で起こるのか?

文献によって幅はありますが、下の親知らず抜歯後の下歯槽神経麻痺はおおむね0.4〜8.4%、そのうち永続的に残るものは0.014〜3.6%程度と報告されています。高リスク症例、つまり親知らずと神経の距離が非常に近いケースでは、さらに頻度が上がることがあります。

一方で舌神経麻痺についても、報告には差がありますが、術式や症例によって一定数起こり得る合併症です。AAOMS(American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons(米国口腔顎顔面外科学会))の白書でも、下歯槽神経・舌神経ともに第三大臼歯抜歯後にときに起こる合併症として整理されており、少なくとも半数以上は自然回復するとされています。

神経麻痺が起こりやすいのはどんなケースか?

特に注意が必要なのは、
* 親知らずが深く埋まっている
* 歯根が大きく湾曲している
* 親知らずと下歯槽神経管が近接している
* CTで神経と歯根が重なって見える
* 神経を取り囲むように歯根が存在している
* 内側(舌側)に歯や骨の形態的なリスクがある
といったケースです。
要するに抜くこと自体はできるが、解剖学的に神経との距離が近い症例では、通常よりも慎重な判断が必要になります。

当院で大切にしていること

現在の歯科医療では、CT(CBCT)を用いて術前に神経と親知らずの位置関係を詳しく分析することで、神経麻痺のリスクをある程度予測することができます。
単に「抜けるかどうか」ではなく、
* どの方向からアプローチするか
* どこまで骨を削るか
* 歯を分割するか
* 通常抜歯でいくのか
* リスクが高ければ別の術式を検討するか
といった点を事前に組み立てることが大切です。こうした術前評価は、神経障害のリスクを下げるうえで非常に重要です。

それでも、起こるときは起こる

これは患者さまに正直にお伝えすべきことですが、どれだけ慎重に診査・診断し、注意深く抜歯しても、神経麻痺がゼロになるわけではありません。
だからこそ大切なのは、
「リスクがあるから抜かない」のではなく、「抜くベネフィットがそのリスクを上回るかどうか」を見極めることです。
例えば、
* 繰り返し腫れる
* 隣の歯に悪影響が出ている
* むし歯や歯周病の原因になっている
* 将来的に炎症や嚢胞の原因となる可能性が高い
こうした状況であれば、一定のリスクがあっても抜歯の意義が高いことがあります。

神経麻痺は「感覚神経」の問題です

ここで大事なのは、下歯槽神経も舌神経も、主に感覚神経であるという点です。
つまり、顔面神経麻痺のように
* 口角が下がる
* 表情が作れない
* しゃべりにくい
といった見た目の大きな運動障害が出るものではありません。

もちろん、しびれや違和感は不快ですし、症状の程度によっては生活の質に影響します。しかし一方で、症状の感じ方には個人差が大きく、画像上はかなり神経に近いケースでも、患者さま自身は「そこまで気にならない」と感じることもあります。逆に、わずかな違和感でも強くストレスになる方もおられます。評価が難しい合併症の一つです。

実際に起こった場合は?

万が一、抜歯後に神経の症状が出た場合には、早期に状態を確認し、必要に応じて神経の回復を助ける目的の投薬や経過観察を行います。
多くは時間経過とともに改善しますが、完全に元通りになるとは限らず、違和感が長く残るケースもあります。そのため、術前の段階で「起こる可能性」「起こった場合の経過」「どこまでを許容して抜歯するのか」を共有しておくことが重要だと考えています。AAOMSでも、一定割合は自然回復する一方、改善が不十分なケースもあると整理されています。

まずはCTでしっかり分析を

当院には、他院で「神経が近い」「難しい」と言われた親知らずのご相談も多く来院されます。
下の親知らず、特に埋伏しているケースでは、まずはCTを撮影して、神経との位置関係を正確に把握することが非常に重要です。
怖がる必要はありません。
ただし、軽く考えすぎる必要もありません。
神経麻痺というリスクは確かに存在しますが、現在は術前の分析によりかなり多くの情報が得られる時代です。
大切なのは、見えないまま抜くのではなく、見える形にしてから最適な判断をすることです。
下の親知らずが気になる方、神経が近いと言われた方、難しいと言われて不安な方は、まずは一度ご相談ください。



オヤアゴ院長ブログ
https://ameblo.jp/kojima-dental
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監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会