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上顎洞に近い上の親知らず抜歯|「穴が空く?」口腔上顎洞交通のリスクと術後注意

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある
【親知らず・顎関節症クリニック銀座(通称:オヤアゴクリニック)】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
* 親知らずの抜歯
* 顎関節症の治療
* アスリートのための歯科治療

今回は、矯正治療中の患者さまが、矯正歯科からの紹介で親知らずを4本抜歯のケースとなります。
矯正治療では、歯を動かすスペースや安定性の観点から、親知らずの抜歯が必要になることがあります。

確認すると、上下左右に親知らずがあり、矯正の計画上「順番に抜歯してほしい」というご依頼でした。
今回はその中でも上顎の親知らずがポイント。
CTで見ると、親知らずの根の先が上顎洞にかなり近接していました。

上顎洞って何?(なぜ近いと慎重になるのか)

上顎洞は、頬の奥にある副鼻腔(ふくびくう)のひとつで、空洞になっています。歯でいうと、上の奥歯(第1・第2大臼歯)や親知らずの根が、上顎洞に非常に近い(時に接する)ことがあります。
このときに問題になるのが、抜歯後に起こりうる
「口腔上顎洞交通」
つまり、お口の中と上顎洞がつながってしまう状態です。これは抜歯後の合併症として一定数起こり得ます。

もし交通(穴)ができると何が困る?

交通ができると、理屈としては
口腔内の細菌が上顎洞側へ入りやすくなり、副鼻腔炎(上顎洞炎)のリスクが上がります。
そしてここが大事な点ですが、上顎洞の内側は「ただの空洞」ではなく、粘膜で覆われています。
その粘膜(いわゆるシュナイダー膜)は、線毛をもつ呼吸上皮で、粘液と線毛運動によって異物を運び出す防御機構を担っています。
つまり、ここに感染が起こると、粘膜の腫れや排出機能の低下が絡んで治りにくくなることがあり、予防と初期対応がとても重要になります。  

今回の抜歯:難しいのは「近い」だけじゃない

上顎洞に近いだけなら、慎重に操作すれば問題なく終わることも多いです。
ただ、今回もう一つ条件がありました。
矯正治療中のため、大きく歯肉を切開し視野を確保することが難しい。
とはいえ、視野が不十分なまま盲目的に進めるのは避けなければいけません。
そこで今回は、
・最小限の切開で、見える範囲を最大化
・歯に無理な力をかけず、ゆっくり動かしてスペースを作る
・器具の方向と支点を丁寧に管理し、上顎洞側へ押し込まない
このあたりを徹底して抜歯を行いました。
上顎の抜歯は割とすぐ終わるのですが、今回のケースは完全埋伏しているケースであり、上顎洞に近接+矯正器具により視野確保困難などの要素が加わり、慎重に時間をかけながら実施しました。

抜歯後、上顎洞への交通が疑われたため「保護」を実施

抜歯後に確認すると、上顎洞側に数ミリ程度の交通が疑われる所見がありました。
大きな穴ではありませんが、細菌が入り込むには十分なサイズになり得ます。
そのため
・創部の保護(閉鎖・被覆の考え方)
・状況に応じた投薬(抗菌薬など)
・鼻を強くかまないなど、術後の行動制限の説明
をセットで行いました。
(交通がある場合、早期に適切な対応をすることが重要とされています。 )

術後の注意点(上顎洞が近い抜歯のときは特に大事)

今回もお伝えしたポイントです。
・鼻を強くかまない(圧で空気や液が通りやすくなるため)
・くしゃみは可能なら口を開けて(圧を逃がす)
・ストローで強く吸わない/強いうがいをしない
・鼻出血、頬の違和感、鼻に水が抜ける感じが続く場合は早めに連絡

経過:翌日・1週間後ともに良好

翌日は軽度の違和感程度で、全体として良好。
1週間後も、痛みは落ち着いており、副鼻腔炎を疑う症状も出ていません。
ただし、組織の治癒は「見た目」より時間がかかることもあるため、状況に応じてもう少しだけ予防的にフォローを継続する方針としました。

まとめ:上の親知らずは「簡単」と言い切れないことがある

一般に「上の親知らずは下より簡単」と言われることもあります。
しかし、上顎洞に近接しているケースは別です。
・交通(穴)のリスク
・感染(上顎洞炎)のリスク
・矯正中など条件が重なると難易度が上がる

こうした点を踏まえて、CTで正確に評価し、慎重に進めることが重要になります。
当院では、難症例も含めて、検査・診断を丁寧に行い、リスクを織り込んだ上で治療方針をご提案しています。
親知らず抜歯で不安がある方は、お気軽にご相談ください。



オヤアゴ院長ブログ
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監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会