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顎関節症でやってはいけないことは?原因・予防法・対処法も解説
2025年12月19日

顎関節症では、治療・予防のためにやってはいけないことと、原因の改善と再発予防のために直さなければいけないことがあります。顎関節症の悪化や再発を防ぐためには、NG行為を把握して改善することが大切です。この記事では、顎関節症でやってはいけないことや、原因になる癖や習慣、なりやすい人の特徴などを紹介します。顎関節症が悪化しないように、適切な対処を知りたい方は参考にしてください。
顎関節症でやってはいけないこと

顎関節症の際、以下の行為は避けてください。
- 硬い食べ物の咀嚼
- 自己流の治療法やマッサージ
- 口を大きく開ける、何度も口を開ける
- 市販のマウスピースの使用
- 鎮痛剤を使用して放置する
それぞれの禁止行為について詳しく解説します。
硬い食べ物の咀嚼
顎関節症の際は、以下のような硬い食べ物や噛み応えのある食べ物の咀嚼を避ける必要があります。
- せんべい
- ナッツ類
- するめいか
- フランスパン
- 硬い肉
- ガム
- チューイングキャンディー
顎関節症で顎に負担がかかるものを食べると、症状が悪化する恐れがあります。歯ごたえのあるものや噛みしめて食べるものを日常的に選択している方は、顎への負担が蓄積して顎関節症の原因になっている可能性もあるため、注意が必要です。
自己流の治療法やマッサージ
顎関節症の対処として、自己流の治療法やマッサージを取り入れることはやめましょう。特に、むやみに患部を刺激したり、無理矢理口を開けてみたりするのは危険です。顎関節症の対処法としてマッサージやストレッチが有効な場合もありますが、症状や顎関節の状態によってアプローチ方法が異なるため、医師の指導のもと適切な治療を受けましょう。
口を大きく開ける、何度も口を開ける
顎関節症の際は、口を大きく開けたり、何度も口を開けたりしないよう、以下の行為に注意が必要です。
- 歯科治療
- 長時間の会話
- 口を大きく開けて笑う
- あくび
歯科治療は口を大きく開けている時間が長く、顎関節に負担をかける恐れがあるため、状況に応じてスケジュールの変更や治療時の配慮が必要です。また、長時間の会話や大口を開けて笑うのは控え、あくびの際は顎を手で支えて開きすぎないように注意しましょう。
市販のマウスピースの使用
様子見や自分で治療する目的で市販のマウスピースを使用すると、症状が悪化する恐れがあります。マウスピースは歯ぎしり・食いしばりによる顎関節症を治療する際に使用されますが、市販のマウスピースは歯型に合っていない可能性が高いため、顎に余計な負荷がかかる原因になります。マウスピースによる治療は自分で行わず、医療機関で自分に合ったマウスピースを作製してもらうことが大切です。
鎮痛剤を使用して放置する
顎関節症で痛みを伴う場合は鎮痛剤を使用して対処する方法がありますが、放置しないように注意しましょう。鎮痛剤は一時的に痛みを軽減しているだけで、顎関節症の根本的な原因は改善できません。疾患が長引くだけではなく、症状が悪化していることに気が付かず、急な痛みが起こる恐れがあります。また、鎮痛剤の継続的な使用は耐性がつく恐れもあるため、気になる症状がある場合は放置せず早めに対処することが大切です。
顎関節症の原因になる癖や習慣

以下の癖や習慣は、顎関節症のリスクを高めたり、複合的に作用することで顎関節症を引き起こしやすくなったりする可能性があります。
- 片側で食べ物を噛む
- 頬杖
- 歯ぎしり・食いしばり
- 舌癖
- 猫背・下向き姿勢
- うつ伏せ寝
- 歯列接触癖(TCH)
それぞれの癖や習慣について詳しく解説します。
片側で食べ物を噛む
食事の際に頬の片方に偏って咀嚼する癖があると、顎関節症を引き起こしやすくなります。治療中の虫歯・歯周病がある場合や抜けた歯を放置しているケースでは、噛みづらさから反対側の頬だけでものを噛む癖がつく可能性があります。この癖を片噛みといい、歯や顎関節の特定の部位に偏った負荷がかかって顎関節症につながる恐れがあるため、改善が必要です。
頬杖
頬杖をつく癖があると、顎関節症のリスクを高める恐れがあります。頬杖は、ついている方の顎に頭の圧力が集中し、負荷をかけるため、顎がズレたり痛みを感じたりする原因になります。特にデスクワークをする方は、書類やパソコンの画面を注視する際に頬杖をつきやすいため、注意が必要です。
歯ぎしり・食いしばり
無意識に起こる歯ぎしりや食いしばりなどの口腔習癖をブラキシズムといい、顎関節症の原因のひとつとされています。特に睡眠時のブラキシズムは意識してやめることが難しく、歯や顎に大きな負荷をかけたり、歯並びの乱れを引き起こすことで顎関節症を発症する可能性が高いです。
また、緊張する場面や集中する場面では覚醒時でもブラキシズムを生じるケースがあり、やめる意識をもつほか、マウスピースや生活習慣の改善による治療が必要な場合があります。
舌癖
舌癖は歯列の乱れを引き起こし、顎関節症の原因となることがあります。舌癖は舌で前歯の裏を押したり、上下の歯の隙間から舌を突き出したりする癖で、出っ歯や開咬などの不正咬合を引き起こしたりする恐れがあります。不正咬合は顎に過剰な負荷や偏った力をかけることで、顎関節症を発症する原因のひとつです。
猫背・下向き姿勢
猫背や下向き姿勢になりがちな方は、顎に長時間負担をかけ続けるため、顎関節症を引き起こす可能性があります。これらの姿勢によって、首や肩の筋肉の緊張が顎の筋肉にも伝わったり、顎が本来の位置からズレたりすることで顎関節症の症状を伴うケースは少なくありません。姿勢は意識して治せる癖であるため、対策によって症状の軽減や予防が見込めます。
うつ伏せ寝
うつ伏せ寝は、頭の重みが顎にかかりやすいため顎関節症のリスクを高めます。また、首や頚椎にもダメージを与え、睡眠の質が低下する可能性も懸念されます。顎のズレや歯列の乱れ、顎の痛みなどがある場合は、習慣化したうつ伏せ寝が原因のケースもあるでしょう。
歯列接触癖(TCH)
歯列接触癖(TCH)がある方は、顎関節に持続的な負荷をかけるため顎関節症になる可能性が高まります。人の歯は何もしていない状態では上下の歯列が離れているのが正常ですが、TCHの方はリラックス時でも上下の歯が接触しているのが特徴です。長時間にわたって顎関節に負担がかかり続けるため、顎の痛みや疲れやすさを引き起こす場合もあります。
顎関節症になりやすい人の特徴

以下の特徴がある方は、顎関節症になりやすい傾向があります。
ストレスや疲労を感じやすい
ストレスや疲労を感じやすい方は、顎関節症になるリスクが高いとされています。疲労を感じやすいとストレスにつながり、無意識のうちに顎に力が入るため、ブラキシズムを引き起こしやすいです。顎関節症の改善には、ストレス対策が必要になるケースも少なくありません。
噛み合わせが乱れている
以下のような噛み合わせの乱れ(不正咬合)がある方は、顎に負担がかかりやすく顎関節症になる可能性が高まります。
- 開咬(オープンバイト)
- 過蓋咬合(ディープバイト)
- 上顎前突(出っ歯)
- 反対咬合(受け口)
- 叢生(乱杭歯)
不正咬合は、顎にかかる力を分散できず、偏った負荷をかける恐れがあります。その結果、顎関節や筋肉への負担が大きくなり、痛みや開口障害などさまざまな症状を引き起こすリスクが高くなるため、歯列矯正が必要になるケースも少なくありません。
喪失歯や歯の欠け・折れを放置している
喪失歯や、歯の欠け・割れを放置していると、顎関節症になりやすくなります。歯がない部分や、問題がある歯が生えている部分は食べ物が噛みにくくなるため、片噛み癖を引き起こして顎への負荷が偏る恐れがあります。また歯がない部分は、空いたスペースに他の歯が移動することで歯並びが乱れ、向かい合う歯との噛み合わせが悪くなる可能性があり、不正咬合を引き起こしやすいです。
歯のメンテナンスに通っていない
歯のメンテナンスでは、虫歯・歯周病に限らず歯列の乱れや不正咬合などを総合的に確認できます。しかし、歯のメンテナンスに通わないと、顎関節症の原因となる歯の不具合に気付けず放置してしまう可能性があります。定期メンテナンスをしっかり受けることで、口内環境が維持され、顎関節症を引き起こす要因も取り除けるでしょう。
顎に負担がかかりやすい職業に就いている
以下のような顎に負担がかかりやすい職業に就いている方は、顎関節症になるリスクが高まります。
- デスクワーク
- 楽器演奏者(ヴァイオリン・ビオラ・木管楽器・管楽器など)
- コンタクトスポーツ(ボクシング・ラグビー・柔道など)
デスクワークは姿勢や頬杖が原因で顎に負担がかかりやすいため、姿勢を正したり頬杖をやめる意識をしたりする工夫が必要です。また、顎関節症になりやすい楽器やスポーツと密接に関わっている方は、長く自分らしいパフォーマンスができるように、アスリート歯科や顎関節症の専門医に相談することをおすすめします。
顎関節症の症状改善に有効な方法

顎関節症の症状を軽減する方法には、主に以下の3つがあります。
- スプリント療法
- 温冷療法
- ストレッチやマッサージ
それぞれの方法について詳しく解説します。
スプリント療法
スプリント療法とは、専用のマウスピースを用いて噛み合わせを調整する治療法です。主に以下の効果が期待できます。
- 顎関節への過剰な負荷を緩和する
- 筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する
- 歯ぎしり・食いしばりによってかかる力を分散する
- 顎の動きを改善する
スプリント療法には、顎関節にかかる負担を軽減して機能障害や痛みなどの症状を軽減する効果が期待できます。無意識のうちに引き起こされるブラキシズムには、スプリント療法で使用されるナイトガードが有効です。
温冷療法
顎関節症には急性期と慢性期があるため、症状に合わせて温冷療法を適用する方法があります。急性期は強い痛みと炎症を伴っているため、タオルに包んだ保冷剤や氷嚢を用いて患部を冷やします。
慢性期は痛みや炎症が緩和されているため、筋肉の緊張緩和や血行促進を目的として、ホットタオルや温湿布などで温めるのが効果的です。ただしいずれの対処法も、顎関節症の状態によっては合わない可能性があるため、症状が悪化したら中断してください。
ストレッチやマッサージ
顎関節症では、顎骨のストレッチや筋肉のマッサージを行うことで、症状の緩和や予防が見込めます。マッサージは、咬筋や側頭筋を2〜3本の指で優しくほぐすことで、筋肉の緊張が軽減される可能性があります。ストレッチにはさまざまな種類があるため、症状に合わせた方法で行いましょう。
顎関節症でストレッチやマッサージを行う際は、状態を悪化させないように適切なやり方を医師に指導してもらうことが大切です。
顎関節症は自分で治せる?

軽度の顎関節症の場合、セルフケアをしたり安静にしていたりすることで症状が消失するケースはゼロではありません。ただし、原因となる不具合や癖・習慣を改善しない限りは再発する恐れがあります。また、何の対処もしていなかった場合、再発した際に症状が重くなるリスクもあり得ます。
特に顎関節症には、強い症状を伴う急性期に加えて、症状が落ち着いている慢性期が存在するため、慢性期を治ったと勘違いすると、急性期で突発的な痛みに襲われる可能性も否定できません。そのため、顎関節症のセルフケアは症状に対する一時的なものだと捉え、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。
顎関節症を予防するために

顎関節症を予防するためには、原因となる癖や習慣を改善する必要があります。
- 片噛みや頬杖は意識して直す
- 姿勢を正す
- 硬いものを食べ過ぎない
- 歯ぎしり・食いしばりの治療を受ける
- できるだけ仰向けで寝る
片噛み・頬杖・TCH・姿勢の悪さなどは、気付いたタイミングで意識してやめるようにしましょう。癖が出やすい場所や目につくところに、「〇〇をやめる」「姿勢を正す」などのメモを張るのが効果的です。片噛みは治療中の歯やブラキシズムが原因で起こるケースもあるため、早めに歯科治療や矯正治療を受け、ブラキシズムの対策についても医師に相談することをおすすめします。
また、硬い食べ物を咀嚼する機会が多いと、顎に負担がかかり顎関節症のリスクが高まります。歯や顎の健康を維持するためには、噛む力よりも回数を意識しましょう。
まとめ
顎関節症では、症状の悪化を防ぐためにしてはいけないことが多く、治療しても原因となる癖や習慣が改善されないと再発する可能性があります。改善を目指すうえで気を付ける点と、予防のための工夫はほとんど同じであるため、注意点をよく理解することが大切です。
親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)では、患者様の負担にならないように配慮しながら丁寧な診断を行います。顎関節症の治療では、スプリント療法とボトックス注射に加えて、生活習慣のアドバイスなども取り入れながら患者様一人ひとりに合った解決策をご提案いたします。顎関節症にお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。
監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
