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顎関節症で起こる頭痛の原因とは?症状の特徴や対処方法について解説

2025年12月19日

両手でこめかみを押さえる女性

顎関節症は「顎が痛い」「口を開けにくい」といった症状だけでなく、頭痛を引き起こすこともあります。こめかみのズキズキした痛みや頭全体が重くなるような感覚、さらには片頭痛のような症状に悩まされる方も少なくありません。これは顎の筋肉や神経、姿勢の乱れなどが複雑に影響している可能性が高いです。

この記事では、顎関節症と頭痛の関係性について詳しく解説します。頭痛の対処方法や医療機関受診の目安などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

顎関節症が頭痛を引き起こすメカニズム

両手でこめかみを押さえる女性

顎関節は頭蓋骨の一部と下顎をつなぐ重要な関節で、噛む・話すといった動作を支えています。この関節に不調が起こると、周囲の筋肉や神経に負担がかかり、その影響が頭全体に広がるのです。顎関節症が頭痛を引き起こす具体的なメカニズムとしては、以下の3つの要因が関係しています。

  • 筋肉の緊張
  • 神経への刺激
  • 頭蓋骨の歪み

ここでは上記3つの要因についてそれぞれ解説します。

筋肉の緊張

顎関節症になると、ものを噛むときに使う咀嚼筋が過度に緊張します。咀嚼筋は側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋の4つの筋肉で構成されていますが、特にこめかみに付着する側頭筋は頭に近いため、緊張が頭痛に直結しやすいのです。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、知らず知らずのうちに筋肉を酷使してしまい、血流が悪くなりやすくなります。血流不足は筋肉を硬直させ、神経にも影響を及ぼすため、こめかみや後頭部に締め付けられるような痛みを感じやすくなります。日常的な顎の使い方が頭痛の原因につながるのです。

神経への刺激

顎関節周辺には多くの感覚神経が存在しており、炎症や変形が生じるとこれらの神経が刺激されます。特に三叉神経と呼ばれる大きな神経は顔全体に広がっており、顎関節の不調によって圧迫や炎症が起こると、痛みがこめかみや額にまで広がります。この痛みはズキズキとした頭痛として現れることが多く、時には片頭痛と区別がつかないことも少なくありません。

神経の刺激は筋肉の緊張と相互に影響し合い、痛みを強める悪循環を引き起こすため、放置すると慢性的な頭痛に発展する可能性があります。

頭蓋骨のゆがみ

顎関節症は噛み合わせの不調から顎の位置がずれ、結果的に頭蓋骨にも影響を与えることがあります。頭蓋骨は複数の骨が組み合わさってできており、バランスが崩れると骨格全体のゆがみにつながります。特に顎の片側に過剰な力が加わると、頭蓋骨や顔の骨に歪みが生じ、これが筋肉や靭帯を引っ張り続ける原因となるのです。

頬づえや横向き寝などの習慣もゆがみを助長し、頭痛を悪化させることがあります。このように日々の癖からくる頭蓋骨のバランスの崩れも、顎関節症による頭痛の一因となるため注意が必要です。

顎関節症に関連して起こる頭痛の特徴

PC作業をしながらおでこを押さえる女性

顎関節症に関連して起こる頭痛の特徴として、以下の5つが挙げられます。

  • 筋緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • 頭全体が重くなる
  • 顎を動かすと痛みが強くなる
  • こめかみ付近や耳周辺に痛みを感じる

ここでは上記5つの特徴についてそれぞれ解説します。

筋緊張型頭痛

顎関節症で特に多く見られるのが筋緊張型頭痛です。顎を動かす筋肉はこめかみから首・肩にまで広がっているため、顎に負担がかかるとその緊張が全身へ波及します。特に歯ぎしりや食いしばりを続けていると、筋肉が硬直して血流が滞り、頭を締め付けられるような痛みや重さを感じます。

朝起きたときに頭が重く感じる、夕方になると首や肩のこりとともに痛みが強まるといったケースも多いです。痛みは持続的で鈍いのが特徴で、慢性的な肩こりや首こりと同時に現れることもあります。

片頭痛

顎関節症が原因で片頭痛が起こることもあります。これは顎関節の炎症やズレによって、顔全体に広がる三叉神経が刺激されるためです。

片頭痛は片側にズキズキとした強い痛みが出るのが特徴で、光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりすることもあります。ストレスや疲労で噛みしめが強くなると、症状が誘発されやすくなります。一般的な片頭痛と区別がつきにくい場合もありますが、顎の違和感や噛み合わせの不調と一緒に現れる場合は顎関節症が関わっている可能性があるでしょう。

頭全体が重くなる

鋭い痛みではなく、頭全体が重くスッキリしない感覚が続くのも顎関節症に関連する頭痛の特徴の一つです。これは顎のズレにより頭蓋骨のバランスが崩れ、脳脊髄液の循環が悪くなることが原因と考えられます。その結果、頭に圧がかかったような不快感やボーッとする感じが続き、集中力の低下や疲労感につながります。

症状が進むとめまいやふらつきが出ることもあり、片頭痛ほど強烈ではないものの、日常生活に支障をきたす慢性的な症状として現れるのが特徴です。

顎を動かすと痛みが強くなる

顎関節症の頭痛は、顎を動かしたときに痛みが強まることがあります。食事や会話の際に口を開閉すると、顎関節や周囲の筋肉に負担がかかり、痛みがこめかみや頭部に広がるのです。特に硬い食べ物を噛んだり、大きく口を開けたりしたときに痛みを感じやすくなります。

安静時は軽度でも、顎の動きに連動して痛みが悪化するのが特徴で、日常的な行動がつらくなることもあります。顎関節そのものの炎症が影響している場合は、頭痛と同時に関節音や顎のだるさも出やすいです。

こめかみ付近や耳周辺に痛みを感じる

顎関節は耳のすぐ前に位置しているため、顎関節症による痛みは耳周辺やこめかみに現れやすいです。特に側頭筋と呼ばれる筋肉は顎の動きと深く関わっており、この筋肉が緊張すると耳の周りやこめかみにズキズキした痛みを感じます。中には耳が詰まったような違和感や耳鳴りを伴う人もいます。

耳やこめかみの痛みが頭痛として自覚されることが多く、片頭痛と間違えられるケースも少なくありません。耳周辺の違和感と顎の不調が同時にある場合は、顎関節症による頭痛の可能性が高いといえます。

顎関節症により起こる頭痛の対処方法

鎮痛薬とコップに入った水を手に持っている

顎関節症により起こる頭痛の対処方法として、以下が挙げられます。

  • マッサージをする
  • ナイトガードを装着する
  • 痛み止めを服用する
  • 生活習慣を改善する
  • 顎関節の動かし方を改善する
  • 正しい姿勢を維持する
  • ストレスをため込まない
  • 睡眠環境を改善する

ここでは上記の対処方法についてそれぞれ解説します。

マッサージをする

顎関節症による頭痛の多くは筋肉のこわばりが原因の一つであるため、マッサージで筋肉を緩めるのが効果的です。入浴後などの体が温まっているタイミングで、蒸しタオルを患部に当ててから行うとよりリラックスできます。具体的な方法は以下の通りです。

  1. 蒸しタオルや使い捨てカイロを患部に当て、5分程度温める
  2. 親指の腹や人差し指から薬指までの四指をそろえて患部に当てる
  3. 軽い力で顎関節や側頭部をゆっくりと押す・回す動きを繰り返す

力を入れすぎず、心地よい程度に行うのがポイントです。継続的に行うことで、血流が改善され、筋肉の緊張がやわらいで頭痛の軽減につながります。

ナイトガードを装着する

夜間に歯ぎしりや食いしばりをしてしまう人は、ナイトガードを装着することで顎関節への負担を減らせます。ナイトガードは歯科医院で作製してもらえるマウスピースの一種で、就寝時に使用するのが一般的です。

装着することで歯同士が直接接触するのを防ぎ、筋肉や関節にかかる圧力を分散してくれます。これにより、朝起きたときの頭痛や顎のだるさを防ぐ効果が期待できるのです。市販品もありますが、自分の歯型に合ったものを作るとフィット感が良く、より高い効果を得やすくなります。

痛み止めを服用する

強い頭痛に悩まされるときは、医師の処方薬や市販の鎮痛薬を一時的に服用するのも有効です。痛み止めは速やかに症状を緩和できますが、根本的に顎関節症を治す方法ではありません。そのため、薬に頼りすぎず、あくまで症状がつらいときのサポートとして使用するのが望ましいです。

また、長期間の服用は副作用のリスクもあるため、自己判断ではなく医師に相談することが大切です。鎮痛薬の服用と並行して、マッサージやナイトガードなどの根本的な対策を続けることが頭痛改善につながります。

生活習慣を改善する

顎関節症を悪化させる原因には、日常の習慣が深く関係しています。例えば、片方の歯だけで噛む癖、頬杖をつく姿勢、歯ぎしりや食いしばりなどは顎関節に負担をかけやすく、頭痛の要因にもなります。また、睡眠不足やストレスの蓄積も筋肉の緊張を強めるため注意が必要です。

日頃から左右均等に噛むことを意識したり、リラックスできる時間を設けたりすることで症状の悪化を防ぐことができます。生活習慣の見直しはすぐに効果が出るものではありませんが、継続することで頭痛の軽減につながる重要な対処法です。

顎関節の動かし方を改善する

顎関節症による頭痛は、顎の動かし方が不適切なことが大きな要因となります。例えば、食事の際に片側ばかりで噛む習慣や、無意識のうちに強く噛みしめる癖は顎の関節に負担をかけます。

このような動かし方を改善するためには、自己流で矯正しようとせず、歯科や口腔外科で専門的な指導を受けるのが望ましいです。また、顎を大きく開けすぎない、ゆっくり動かすといった日常的な工夫も効果的です。顎の使い方を見直すことで、頭痛の悪化を防ぎやすくなります。

正しい姿勢を維持する

姿勢の乱れは顎関節や首、肩に大きな負担を与え、頭痛の引き金となります。特にデスクワークやスマートフォンの長時間使用には注意が必要です。椅子に深く腰かけ背筋を伸ばし、画面は目の高さに合わせるようにしましょう。猫背にならないよう意識し、長時間同じ姿勢を取らないようこまめにストレッチを取り入れるとさらに効果的です。姿勢を整えるだけでも、顎関節への負担を軽減し、頭痛の予防につながります。

ストレスをため込まない

精神的なストレスは、歯ぎしりや食いしばりといった無意識の行動を引き起こしやすく、それが顎関節や筋肉に負担をかけて頭痛につながります。そのため、ストレスを上手に発散することが大切です。深呼吸やストレッチ、軽い運動、趣味の時間を持つことで心身をリラックスさせることができます。また、就寝中に歯ぎしりが強い場合は、歯科医院でマウスピースを作製してもらうのも効果的です。ストレスをため込まないように意識することで、顎の負担を軽減し、頭痛の悪化を防ぐことにつながります。

睡眠環境を改善する

睡眠中の姿勢や環境も顎関節症による頭痛に影響します。高すぎる枕や柔らかすぎる寝具は首や顎に余計な力をかけてしまい、筋肉の緊張を強める原因となります。そのため、自分に合った高さや硬さの枕を選ぶことが重要です。また、うつぶせや横向きで寝るのは避け、なるべく仰向けで寝るのが理想的です。さらに、寝室の温度や湿度を快適に保つのも質の良い睡眠につながります。睡眠環境を見直し、リラックスして眠れるように工夫してみましょう。

頭痛がひどい場合は顎関節症の治療を検討する

聴診器

顎関節症による頭痛は、一時的に治まることもありますが、放置すると慢性化して日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。特に「口を開けにくい」「顎が痛む」「耳の付け根がズキズキする」などの症状が続く場合、顎関節症が原因の可能性が高いです。

市販の痛み止めやマッサージで一時的に楽になることはあっても、根本的な改善にはつながらないため、医療機関での診察を受けることが大切です。ここでは顎関節症の受診目安や放置するリスク、治療方法について解説します。

顎関節症の受診目安

顎関節症は、軽度であれば自然に治まることもありますが、一定の症状が続く場合は受診を検討すべきです。具体的には以下のような症状が見られたら受診を検討しましょう。

  • 口を大きく開けられない
  • 口を開けると痛い
  • 開け閉めの際に音がする
  • 食事の時に痛みが強い
  • 顎やこめかみに違和感がある

特に頭痛や耳の痛みを伴う場合は顎関節だけでなく神経や筋肉にも負担が広がっている可能性があるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。自己判断で放置せず、医師の診察を受けて正しい原因を突き止め、適切な治療につなげましょう。

顎関節症を放置するリスク

顎関節症を放置すると、症状が徐々に悪化し、日常生活に大きな影響を与えることがあります。最初は軽い違和感や一時的な痛みでも、進行すると口がほとんど開かなくなったり、食事が困難になったりするケースもあります。

重症化すると外科手術が必要になる場合もあるため、「そのうち治る」と思って放置するのは危険です。顎に違和感や頭痛があるときは、早い段階で原因を確認し、適切な治療を受けることが大切です。

顎関節症の治療方法

顎関節症の治療は、症状の程度に応じてさまざまな方法があります。

  • 物理療法
  • 運動療法
  • スプリント療法
  • 薬物療法
  • 生活習慣の改善

軽度の場合は、温める・冷やすといった物理療法や、顎を無理なく動かす運動療法で改善を目指すことが可能です。就寝時の歯ぎしりや食いしばりが原因であれば、マウスピース(スプリント)を装着し、関節や筋肉への負担を軽減します。また、痛みが強いときは鎮痛薬や消炎薬が処方されることもあるでしょう。これらを組み合わせた治療により、症状の緩和と再発予防を目指せます。

まとめ

顎関節症による頭痛は、筋肉の緊張や神経の刺激、顎のゆがみなど複数の要因が関わって起こります。症状としては、緊張型頭痛や片頭痛、頭全体の重さ、こめかみや耳周辺の痛みなどが現れることが多いです。症状の改善にはマッサージや姿勢の改善、ナイトガードの使用、ストレス対策などが有効ですが、痛みが強い場合や長引く場合は医療機関の受診を検討しましょう。

親知らず・顎関節症クリニック銀座では、保険適用のスプリント療法と自由診療でのボツリヌストキシン(ボトックス)注射に対応しています。患者さん一人ひとりに合わせた治療が可能なため、顎関節症でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会