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親知らずで歯茎が腫れる5つの原因と応急処置、治療法について解説
2025年12月5日

親知らずの周りの歯茎が腫れ、仕事や日常生活にも支障をきたしていて、困っているのではないでしょうか。親知らずによる腫れは、智歯周囲炎をはじめとするさまざまな原因で起こります。適切な対処をしないと症状が悪化し、顔全体の腫れや発熱につながることもあるため、早めの対応が大切です。この記事では、親知らずで歯茎が腫れる5つの主な原因と、自宅でできる応急処置、歯科医院での治療法について詳しく解説します。
親知らずで歯茎が腫れる5つの原因

親知らずで歯茎が腫れる原因はさまざまです。原因によって対処法は変わるため、まずは何が原因で腫れているのかを把握しましょう。
智歯周囲炎による腫れ
親知らずで周りの歯茎が腫れる原因としてよくあるのが智歯周囲炎(ちししゅういえん)です。親知らずは一番奥に生えているため、歯ブラシが届きにくく、食べかすや細菌がたまりやすくなります。親知らずが斜めに生えていたり、一部だけ顔を出している場合は、歯と歯茎の間にすき間ができやすく、そこに汚れがたまって炎症を起こしやすくなるのです。
智歯周囲炎になると、親知らず周りの歯茎が赤く腫れ上がり、ズキズキとした痛みを感じるようになります。また、疲労やストレスが蓄積しているときに発症しやすく、一度治っても繰り返すことがあるのが特徴です。
虫歯が原因の腫れ
虫歯が進行して歯の神経まで達すると、歯の根の先に膿がたまり、歯茎が腫れることがあります。虫歯によって腫れた場合、冷たいものがしみたり、噛むと痛みを感じることが多いです。親知らずだけでなく、隣の歯も虫歯になってしまうことがあるため、早めの対処が必要になります。
親知らずの虫歯は見つけにくく、鏡で見ても確認しづらい位置にあるため、痛みが出てから初めて虫歯に気づくケースは少なくありません。虫歯が進行すると、歯の内部で細菌が増殖し、根の先から歯茎に炎症が広がり、まれに顎の骨にまで影響が及ぶこともあるため注意が必要です。
生えてくるときの一時的な腫れ
親知らずが生えてくる過程で、歯茎を押し上げて出てくるため、一時的に歯茎が腫れることがあります。まっすぐに生えてきている場合は、時間の経過とともに腫れは自然に引いていきますが、斜めや横向きに生えている場合は、腫れが長期間続くことも少なくありません。また、親知らずが生えてくるときの腫れは、個人差が大きいのが特徴です。
スペースが十分にある人は、ほとんど腫れを感じることなく生えてきます。一方、顎が小さい現代人は、親知らずが生えるスペースが不足していることが多く、無理やり生えようとして周りの組織を圧迫し、強い腫れや痛みを引き起こすことがあります。歯茎を破って出てくるまでにも時間がかかるため、断続的に腫れや痛みが続きやすいのが特徴です。
抜歯後の腫れ
抜歯後の腫れの程度は、抜歯の難易度によって大きく異なります。簡単な抜歯であれば、ほとんど腫れないこともあります。一方、歯茎を切開したり、歯を分割して抜いたりする必要がある場合は、腫れが強く出ることが多いです。
また、抜歯する歯の位置によっても腫れ方が異なります。下の親知らずは上の親知らずよりも腫れやすく、横向きに生えていた親知らずを抜いた場合も、腫れが強く出る傾向があります。骨を削る必要があった場合も同様に腫れやすくなるでしょう。
歯周病による腫れ
親知らずの周りに歯垢や歯石がたまると、歯周病菌が繁殖し、歯茎に炎症を起こします。歯周病による腫れは、歯茎が赤く腫れ、触ると出血しやすいのが特徴です。痛みは初期段階だとあまり感じないことが多く、気づきにくい問題があります。
さらに親知らず周りの歯周病は、隣の歯にも影響を与えやすく、連鎖的に歯周病が広がることも特徴です。歯周病に気づかず、放置すると歯を支える骨が溶けてしまうこともあるため、注意が必要になります。定期的な歯科検診で早期発見を目指すことが大切です。
親知らずによる腫れはいつまで続く?

親知らずの腫れがどのくらい続くかは、原因や個人差によって異なります。智歯周囲炎による腫れの場合、適切な治療を受ければ数日~1週間程度で症状が改善することが多いです。炎症が強い場合は1週間以上かかることもあります。
抜歯後の腫れは、通常2~3日目がピークで、その後徐々に引いていき、1週間程度でほぼ元の状態に戻ります。上の親知らずよりも下の親知らずの方が腫れやすく、期間も長くなる傾向があるでしょう。
腫れが1週間以上続く場合や、悪化している様子が見られる場合は、感染や他の問題が起きている可能性があります。そのような場合は、すぐに歯科医院を受診することが大切です。
歯茎の腫れへの応急処置

ここでは、親知らずで歯茎が腫れたとき、すぐに歯科医院に行けない場合の応急処置をご紹介します。ただし、あくまで一時的な対処法のため、できるだけ早く歯科医院で診察を受けるようにしましょう。
冷たいタオルで患部を冷やす
腫れている部分を冷やすことで、炎症を抑え、痛みを和らげられる場合があります。冷やす場合は、清潔なタオルを水で濡らして軽く絞り、頬の外側から優しく当てましょう。冷却シートを使用しても構いません。
1回20分程度を目安に冷やし、30分ほど間隔をあけてから再度冷やすようにします。氷を直接、腫れた部分に当てると血流が悪くなり、かえって痛みが増すことがあるため避けましょう。親知らず周りの歯茎が腫れて48時間経過してからは、温めた方が血流がよくなり回復を促すこともあるため、医師に相談して様子を見ながら対処を変えていきましょう。
市販の鎮痛剤を服用する
痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤で一時的に症状を和らげられる可能性があります。薬局やドラッグストアで購入できる鎮痛剤を、用法・用量を守って服用しましょう。痛みが強いからといって規定量以上を服用すると、副作用のリスクが高まります。
また、鎮痛剤は痛みを一時的に抑えるもので、腫れの原因そのものを治すものではありません。服用しても症状が改善しない場合は、早めに歯科医院を受診してください。持病がある方や他の薬を服用している方は、薬剤師に相談してから服用することをおすすめします。
うがい薬で口の中を清潔にする
ドラッグストアで手に入る殺菌作用のあるうがい薬で、口の中を清潔に保ちましょう。1日3~4回、食後と就寝前に優しくすすぐ程度に行います。ブクブクさせるうがいは刺激になるため、口に含んで軽くすすぐ程度にとどめてください。
うがい薬がない場合は、ぬるま湯に塩を少し溶かした塩水を使う方法もあります。コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分程度の塩を溶かして使いましょう。ただし、濃度や使用方法によっては粘膜への刺激になることもあるため、痛みが強い場合は無理をせず、ぬるま湯だけでのうがいでも構いません。アルコール成分の強いマウスウォッシュは刺激が強いため避けた方がよいです。
しっかり休んで体力を回復する
疲れやストレスは炎症を悪化させる要因となります。親知らずが腫れているときは、無理をせず十分な休息をとることが大切です。可能であれば7~8時間の睡眠時間を確保しましょう。寝るときは、腫れている側を上にして横になると、血液がたまりにくくなり腫れの悪化を防げます。枕を高くして頭を少し起こした状態で寝ることも有用です。
日中も激しい活動は避け、安静に過ごすよう心がけてください。仕事や家事で無理をすると、体の抵抗力が落ちて症状が長引く可能性があります。
痛みで食事がとりにくい場合は、おかゆやスープなどのやわらかいものを選び、水分補給も忘れずに行いましょう。体をしっかり休めることで、自然治癒力を高めることができます。
歯科医院を受診する
応急処置はあくまで一時的な対処法です。腫れの根本的な原因を解決するためには、歯科医院での診察と治療が必要になります。とくに、腫れがひどくなっている、発熱している、口が開けにくい、飲み込みにくい、顔全体が腫れているなどの症状がある場合は、すぐに受診しましょう。
受診時は、いつから症状が始まったか、どのような痛みか、服用している薬があれば必ず伝えてください。早めに治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、合併症を避けられる可能性が高まります。
歯茎が腫れているときにやめた方がいいこと

親知らずで歯茎が腫れているときは、症状を悪化させないために避けるべきことがあります。次の行動は控えるようにしましょう。
入浴・飲酒・運動
入浴・飲酒・運動は血行を促進させ、腫れや痛みを悪化させる可能性があります。入浴は短時間のシャワーで済ませ、湯船には浸からないようにしましょう。
飲酒は控え、激しい運動も避けて安静にすることが大切です。とくに飲酒は痛み止めとの相互作用があるため危険です。
薬の作用を強めたり弱めたりし、予期せぬ副作用を引き起こす可能性があります。運動は軽いストレッチ程度にとどめ、サウナや温泉も症状が落ち着くまでは控えましょう。
腫れた部分を触る
指や舌で触ると細菌が入り込んだり、刺激を与えて炎症を悪化させる可能性があります。気になってもできるだけ触らないよう意識することが大切です。爪楊枝や綿棒で腫れた部分を触ることも避けるべきです。食べかすが気になる場合は、やさしくうがいをして取り除きましょう。歯磨きの際は、やわらかい歯ブラシで腫れている部分を避けて優しく磨くようにしてください。
ストレスをためない
ストレスは免疫力を低下させ、炎症を悪化させる要因となります。リラックスできる時間を作り、十分な休息をとるよう心がけましょう。好きな音楽を聴く、アロマを楽しむ、深呼吸をするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけて実践してください。短時間でもリラックスタイムを設けることで、心身ともに休めて回復を早められる可能性があります。
腫れを放置するとどうなる?

親知らずの腫れを放置すると、さまざまな問題が起こる可能性があります。しかし、症状が軽いうちに治療を始めれば次のような問題を避けることができるでしょう。
顔全体に腫れが広がる
親知らずの炎症を放置すると、腫れが顔全体に広がることがあります。最初は親知らずの周りだけだった腫れが、頬や首筋へと広がっていくことがあります。このような状態になると、日常生活に支障をきたすため、早めの治療が必要です。適切な治療を受ければ、多くの場合は改善するため、症状が広がる前に歯科医院を受診しましょう。
発熱や口が開けにくくなる
炎症が進行すると、発熱することがあります。発熱とともに、悪寒や倦怠感、頭痛などの全身症状が現れることも少なくありません。また、炎症があごの筋肉にまで及ぶと、口を大きく開けることができなくなることがあります。そうなると食事や薬の服用が難しくなり、歯科治療を受けることも難しくなるため、炎症が広がる前の対処が重要です。
全身に炎症が広がることも
まれなケースですが、炎症が広範囲に広がり、全身症状を引き起こすことがあり、その場合は入院治療が必要になることもあります。ただし、適切な治療を受けずに長期間放置した場合の話です。親知らずによる腫れが疑われたら、早めに歯科医院を受診することで、このような事態を防ぐことができるでしょう。予防のために定期的な歯科検診を受けることも大切です。
親知らずで歯茎が腫れた場合の治療法

歯科医院では、親知らずの腫れの原因に応じて、適切な治療法が実施されます。
抗生物質
細菌感染による炎症の場合、抗生物質を処方して炎症を抑えます。内服薬として処方されることが多く、一般的に3~7日程度服用します。症状が良くなっても、処方された分は飲みきるようにしましょう。途中でやめると細菌が再び増殖し、薬への耐性がついてしまう可能性があります。
歯肉の切開
膿がたまっている場合は、歯茎を切開して膿を出すことがあります。局所麻酔をして行うため、処置中の痛みはほとんどありません。膿を排出することで、腫れや痛みを改善できる可能性があります。処置後は抗生物質を服用し、傷口が治るまで清潔に保ちましょう。
膿の排出方法として、メスで小さく切開し、膿を出した後、ドレーンという管を入れて膿が継続的に排出されるようにすることもあります。処置自体は10~15分程度で終わることが多く、処置後すぐに楽になることが多いです。
必要なら腫れが引いてから抜歯
親知らずが繰り返し腫れる場合や、正常に生えていない場合は、抜歯を検討します。ただし、腫れがひどいときは麻酔が効きにくく、出血も多くなるため、炎症を抑えてから抜歯を行う必要があります。
抜歯の必要性については、歯科医師とよく相談して決めることが大切です。抜歯の方法は、親知らずの生え方によって異なります。まっすぐ生えている場合は比較的簡単ですが、横向きや埋まっている場合は、歯を分割したり、骨を削ったりする必要があることもあります。抜歯後は、定期的な経過観察が必要で、糸で縫った場合は1週間後に抜糸が必要です。
まとめ
親知らずで歯茎が腫れる原因は、智歯周囲炎、虫歯、歯周病などさまざまです。応急処置として患部を冷やす、市販の鎮痛剤を服用する、うがい薬で口を清潔にする、十分な休息をとるなどの方法がありますが、一時的な対処法にすぎません。早めに歯科医院を受診することで、症状の進行や拡大を防ぐことができるでしょう。
親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)では、日本口腔外科学会認定の口腔外科専門医が在籍し、難症例にも対応しています。静脈内鎮静法による痛みに配慮した抜歯や、歯科用CTによる精密検査で、一人ひとりに合わせた治療を提供しています。親知らずの腫れで悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
