親知らずの抜歯は歯医者と口腔外科どっち?治療の違いと選び方
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親知らずの抜歯が必要なとき、『どこで抜いてもらえばいいのだろう』と迷う方は少なくありません。親知らずの抜歯はかかりつけの一般歯科で対応できるケースもあれば、口腔外科による専門的な治療が必要な場合もあります。生え方や位置によって適した受診先が大きく異なり、選び方を誤ると治療が難航したり思わぬトラブルを招いたりする恐れがあります。
この記事では、一般歯科と口腔外科の違い、それぞれに適した症例について詳しく解説し、自分に合った抜歯治療を受けるためのクリニック選びのポイントもまとめました。親知らずの抜歯でお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
親知らずの抜歯治療を受ける場所の選択肢

親知らずの抜歯治療は、一般歯科と歯科口腔外科のどちらでも受けられます。ただし、それぞれに適した症例や特徴があるため、適切な選択をしましょう。
一般歯科での抜歯
一般歯科では、比較的簡単な親知らずの抜歯に対応しています。まっすぐ生えている親知らずや根が浅い場合など、通常の抜歯と同様の手順で処置が可能なケースが中心となります。一般歯科で抜歯をするメリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット
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- 自宅や職場近くにあることが多くアクセス良好
- かかりつけの歯科医院で治療を受けられる
- デメリット
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- 複雑な親知らずの場合は治療が困難
- 設備の制約により対応できない症例がある
- 抜歯後の腫れや痛みが大きくなる場合がある
口腔外科での抜歯
歯科口腔外科は、親知らずの抜歯をはじめとする外科的な治療を専門とする分野です。一般歯科では対応が難しい複雑な症例にも対応できる体制が整っています。口腔外科で抜歯をするメリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット
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- 高度な技術で抜歯を行える
- 複雑な症例にも対応が可能
- 抜歯後の腫れや痛みを抑制する処置が充実
- デメリット
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- 一般歯科と比べて施設数が少ない
- 予約が取りにくい場合がある
親知らずの状態によって適切な受診先は変わるため、まずは医師による診断を受けることが大切です。
あなたの親知らずはどのタイプ?受診科を選ぶ基準

自分の親知らずがどのタイプに該当するかを把握することで、より効率的な治療を受けられる可能性が高まります。
一般歯科で十分なケース
歯茎から十分に顔を出している親知らずや、まっすぐ生えた親知らずは一般歯科での対応が可能です。一般歯科で対応可能な親知らずには以下のような特徴があります。
- まっすぐ正常に生えている
- 根が浅く単純な形状をしている
- 歯茎に埋まっている部分が少ない
- 清掃しやすい位置にある
ただし、妊娠予定がある女性はホルモンの変化により歯茎が腫れやすくなるため、計画的な抜歯を検討する必要があります。
口腔外科が必要なケース
複雑な親知らずの抜歯には、専門的な技術と設備が必要になります。口腔外科での治療が推奨されるのは以下のような親知らずです。
- 横向きや斜めに生えている
- 顎の骨に深く埋まっている
- 根が複雑に曲がっている
- 神経や血管に近接している
このような症例では、レントゲンやCT検査による詳細な診断が欠かせません。とりわけ下顎の神経に近い親知らずの抜歯は唇や舌の感覚に影響を与える恐れがあるため、医師による慎重な判断が求められます。
抜歯の難易度を見極めるポイント
親知らず抜歯の難易度を判断する際の要素は以下の通りです。
- 画像診断
- レントゲンで位置関係を把握し、3DCT検査でより詳細な立体情報を取得
- 症状の確認
- 痛みや腫れの頻度、食べ物の詰まりやすさ、口臭の有無をチェック
- 隣接歯への影響
- 手前の歯を押している場合や将来的なトラブルの可能性を評価
- 患者の年齢
- 若い時期ほど骨が柔らかく治癒良好な傾向がある
- 全身状態
- 高血圧や糖尿病などの疾患がある場合はリスク管理が重要
迷ったときはまず身近な歯科医院で相談し、必要に応じて口腔外科への紹介を受けることをおすすめします。
口腔外科専門医による治療のメリット

口腔外科専門医による親知らずの抜歯には、一般歯科では得られない専門性の高い治療が期待できます。
安全性の確保
『口腔外科専門医』は、厳格な認定基準を満たした歯科医師です。日本の歯科医師約10万人のうち、口腔外科専門医は全体の約5%しか存在しません。
出典:『令和2年3月 一般社団法人日本歯科専門医機構 歯科医療の専門性に関する協議・検証事業報告書』
専門医認定には以下の条件が必要です。
- 研修期間
- 初期臨床研修修了後、6年以上の学会認定研修施設での経験
- 症例実績
- 施術実績100例以上(うち40例以上は中難易度レベル)
- 全身管理経験
- 入院患者の管理や全身麻酔での実務経験
- 学術活動
- 学会発表経験と学術論文の著者実績
このような厳しい条件をクリアしていることから、専門医は顔面の解剖に精通し神経や血管を傷つけるリスクを軽減できる技術を持っているといえるでしょう。
治療期間の短縮
専門医による親知らずの抜歯は、豊富な臨床経験と高い技術に支えられています。これにより処置時間を短縮できる可能性が高く、患者さんの身体的・精神的な負担を大きく軽減できます。時間が短く済むことで手術後に起こりやすい腫れや痛みを抑えやすく、回復もスムーズに進む点が大きなメリットです。
最新設備による精密診断
口腔外科では、一般歯科にはない専門的な設備が整っています。例えば、歯科用CT(CBCT)による3D診断では、通常のレントゲンでは把握できない立体的な情報を取得可能です。親知らずと神経・血管の位置関係や骨の密度まで把握でき、より精密な治療計画を立てられます。
さらに、骨を削る専用器具や歯を分割する器具など、複雑な抜歯に対応できる機器も揃っています。強い不安がある場合には、静脈内鎮静法によりウトウトした状態で手術を受けられるため痛みや恐怖を感じにくく、歯科が苦手な方にも適しているでしょう。
抜歯後のトラブルを避けるために

親知らずの抜歯後は、適切な経過観察とアフターケアが重要です。手術後の症状を正しく理解し適切に対処することで、回復を順調に進められます。
よくある抜歯後の症状
親知らずの抜歯後に現れる症状には個人差がありますが、一般的な経過を理解しておくとより安心して過ごせます。
| 症状 | 経過の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 痛み | 2〜3日で落ち着くことが多い | 個人差あり |
| 腫れ | 3〜4日目をピークに自然に引いていく | 冷やしすぎに注意 |
| 出血 | 当日は安静が必要 | 飲酒・運動は控える |
| 感染リスク | 抗生剤を処方し炎症を抑制 | 処方薬の確実な服用 |
なかでも下顎の親知らずでは下歯槽神経という知覚神経の近くを処置するため、稀に下唇のしびれや鈍麻が生じることがあります。このようなリスクが高いと判断されるケースでは大学病院などと連携し、より安全な環境での抜歯が実施される場合があります。
適切なアフターケア
抜歯後の回復を順調に進めるためには、以下の点に注意が必要です。
- 【当日の過ごし方】
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- 抜歯部位を舌で触らない
- 激しいうがいは避け、軽く口をすすぐ程度にとどめる
- 飲酒や激しい運動は控える
- 入浴は軽めのシャワー程度にする
- 【食事に関する注意】
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- 柔らかい食べ物を選ぶ
- 抜歯した側での咀嚼は避ける
- 熱すぎる食べ物や刺激の強い食べ物は控える
処方された抗生物質や鎮痛剤は、指示通りに服用することが大切です。腫れや出血がひどいときは、通院日まで我慢せずに早めに歯科医院へ連絡しましょう。親知らずの抜歯は日帰りで行える処置ですが、術後の管理を怠ると思わぬトラブルにつながる場合があります。不安な点があれば遠慮なく担当医に相談するようおすすめします。
費用と通院の負担を考慮しよう

親知らずの抜歯を検討する際は、治療費や通院にかかる負担も重要な判断材料になります。経済的な面と利便性のバランスを考慮したうえで、適切な医療機関を選択することが大切です。
治療費の違い
抜歯にかかる費用は、治療を受ける医療機関や親知らずの状態によって幅があります。一般歯科で行う比較的容易なケースなら、保険適用(3割負担)の方で数千円程度で済むことが多いでしょう。まっすぐ生えている、あるいは根が浅い親知らずは、通常の抜歯と同程度の費用で対応できる場合もあります。
一方、口腔外科での処置が必要となる複雑な症例では負担が高くなり、埋伏歯の抜歯や骨を削る必要があるケースでは、保険適用でも1万円前後かかることがあります。さらに歯科用CTによる3D検査や静脈内鎮静法を併用する際は、別途費用が加算される点に注意が必要です。
通院の利便性
治療を継続するうえで、通院のしやすさも大切なポイントです。自宅や職場からの距離、公共交通機関の利用しやすさを考慮して選ぶのが望ましいでしょう。一般歯科は身近な場所にあることが多く、通院の負担が少ない傾向があります。
一方で口腔外科は施設数が限られ、遠方まで足を運ぶ必要が生じる場合があります。ただし難しい症例では、利便性より専門性を優先する判断も欠かせません。また口腔外科は患者数が多く、予約が取りにくいこともあるため、急な痛みや腫れに対応してもらえるかを事前に確認しておくと安心です。
費用と通いやすさのバランスを見極め、自分に合った医療機関の選択が、納得できる治療につながります。
専門クリニックを選ぶ際のポイント

親知らずの抜歯で専門クリニックを選ぶ際は、医師の資格や設備、対応の質を総合的に判断することが重要です。
口腔外科専門医の資格確認
口腔外科を標榜している歯科医院でもすべてに専門医が常勤しているわけではなく、実際の治療は一般歯科医が行う医院もあります。専門医資格の確認方法は、日本口腔外科学会のホームページで検索が可能です。また、クリニックのホームページに医師の経歴が記載されている場合が多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。
専門医資格は5年ごとに更新する義務があり継続的な研修実績が求められるため、資格を維持している医師は常に新しい知識と技術を習得し続けているといえます。常勤で専門医が在籍していなくても非常勤の専門医と連携しているクリニックもあり、このような体制でも難症例に対する適切な対応が期待できます。
設備と治療体制
専門的な治療には、それに見合った設備と体制が欠かせません。歯科用CT(CBCT)の3次元画像による精密な診断は、複雑な抜歯を行ううえで重要です。とりわけ神経に近い下顎の親知らずでは、CTによる詳細な検査が大きな役割を果たします。
さらに、清潔な環境で手術を行うために専用の手術室や滅菌設備が整っているかも確認したいポイントです。緊急時に対応できる体制があるかどうかも安心材料となります。大学病院や総合病院と連携しているクリニックであれば、万一の際も迅速な処置が期待でき、全身疾患のある方でも適切な管理下で治療を受けられます。
カウンセリングと説明の丁寧さ
治療前の説明とカウンセリングの質は、クリニックを選ぶ際の重要な判断材料です。抜歯に伴うリスクや合併症について、分かりやすく説明してくれるかどうかを確かめましょう。メリットだけでなく起こりうるトラブルまで正直に伝えてくれる医師は信頼できるといえます。
抜歯以外の選択肢がある場合は、それらについても説明があることが望ましく、患者さんの状況に応じて複数の治療方針を提案してくれるクリニックがおすすめです。また、不安や疑問に対してじっくり答えてくれる姿勢があるかも重要なチェックポイントです。これらを参考に自分に合ったクリニックを見つければ、落ち着いて治療に臨めるでしょう。
まとめ
親知らずの抜歯は、歯の状態と患者さんの状況によって適切な受診先が決まります。まっすぐ生えている比較的簡単なケースは一般歯科でも対応可能ですが、横向きや埋伏している複雑な症例では口腔外科専門医による治療が推奨されます。
より安全で確実な治療を受けるためには、医師の資格や設備、カウンセリングの質を総合的に判断することが重要です。費用や通院の利便性も考慮しながら、自分に適した医療機関を選択しましょう。
親知らずでお悩みの方は、東京銀座にある『親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)』にご相談ください。
日本口腔外科学会認定の専門医が在籍し、歯科用CTによる精密診断のもと抜歯治療を提供しています。難症例や他院で断られた症例にも対応可能なケースがあるため、まずはお気軽にご相談ください。
監修歯科医師
医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
- 〔院長略歴〕
- 鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
- 〔所属学会・所属団体〕
- 歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会

