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複雑な3根を持つ右下親知らずの抜歯

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある
【親知らず・顎関節症クリニック銀座(通称:オヤアゴクリニック)】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
* 親知らずの抜歯
* 顎関節症の治療
* アスリートのための歯科治療

本日は、右下の親知らずの抜歯を希望して来院された患者さまのケースをご紹介します。
過去に左下の親知らずを他院で抜歯しようと試みた際、歯根が破折し、そのまま残置になっているご経験がありました。幸い痛みはなかったものの、「右下はきちんとリスクを把握して抜いておきたい」というご希望で来院されました。

事前診査で見えた、ただの親知らずではないサイン
まずパノラマレントゲンを確認したところ、歯根が太く、複根の可能性が高いことが判明。
より正確な判断のためCT撮影を行いました。
結果は予想以上に複雑で、
「3根がそれぞれ独立し、全てが別方向に湾曲している」という非常に珍しい形態。
特に舌側根(内側の根)は、舌側方向へ巻き込むように走行しており、無理な力を加えると口腔底(舌の下の空間)に落下するリスクがある形でした。

術前説明:取ることだけが正義ではない
患者さまには以下を丁寧に説明しました。
* 近心根・遠心根は比較的安全に抜去可能
* 舌側根は、動かない場合は無理に取らず、感染が起きない形で残す選択肢がある
* 抜歯の目的は「炎症や腫脹の改善」であり、
 全根を強引に抜くことが目的ではない
この治療の目的を見失わないことが、複雑なケースほど重要です。

手術:戦略的な分割と、リスク回避の判断
事前にCTで根の方向・湾曲の角度・周囲の骨の厚みまで把握できていたため、
不要な刺激を避け、分割を中心とした安全な手技を選択。
* 近心根 → 抜去
* 遠心根 → 抜去
* 舌側根 → 明示はできたが、細い器具で慎重に触れても動かない状態
CTの3D像の通り、舌側根は内側方向へ大きく巻き込んでおり、抜くには相当量の骨削除が必要。
その結果、
* 口腔底への落下リスク
* 舌神経への影響
* 舌側の大きな腫脹
これらのリスクがベネフィットを上回ると判断し、
予定通り “舌側根のみ保存” という選択を行いました。

なぜ残したのか:抜歯の目的に立ち返る
今回の親知らずは半埋伏で、腫れが出やすい状態でした。
つまり、患者さまの目的は**「腫れや炎症の改善」**です。
そして舌側根は
* 口腔内と交通していない
* 感染源になっていない
この条件を満たすため、残った1根が炎症を起こす理由はありません。
無理に抜くことで新たなリスクを生むより、
安全に残す という判断が、医学的にも最善です。

CTの重要性:複雑なケースほど、事前戦略が成否を分ける
今回改めて感じたのは、
CT撮影による事前のリスク分析がどれほど抜歯の質を高めるかということ。
* 根の数
* 根の走行方向
* 骨の厚み
* 神経との距離
* 落下のリスク
これらを術前に可視化できることで、
「取るべきところは確実に」「無理すべきでない部分は回避」
という、最も安全な戦略が立てられます。

まとめ
今回のように
・3根
・全て独立湾曲
・舌側根は口腔底方向へ巻き込み
という難症例でも、CTを活用することで安全に抜歯を完了することができました。
親知らずは抜くことが目的ではなく、
炎症を起こさない状態にすることが本質。
複雑なケースほど、丁寧な診断と冷静な判断が必要です。
親知らずでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

オヤアゴ院長ブログ
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監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会