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口腔外科の保険適用について|知っておきたい治療費用と条件

歯の形をした置物と透明な容器に入れられた硬貨と積み上げられた硬貨

口腔外科治療を受ける際、「費用はどのくらいかかるの?」「保険は使えるの?」という不安を抱く方は少なくありません。親知らずの抜歯や顎関節症の治療など、口腔外科領域の処置は専門性が高く、治療費についても分からないことが多いものです。実際のところ、口腔外科治療の多くは健康保険の適用対象となりますが、すべての治療が保険でカバーされるわけではありません。

この記事では、口腔外科治療における保険適用の基本的な仕組みから、具体的な費用目安、さらには医療費控除などの費用軽減策まで、分かりやすく解説します。適切な知識を身につけ、安心して治療を受けられる環境を整えたい方は、ぜひ参考になさってください。

口腔外科治療で保険が適用される症例とは

パソコンで歯のレントゲン画像を確認する歯科医師

口腔外科治療の多くは健康保険の適用対象となりますが、すべての治療が保険でカバーされるわけではありません。保険適用の可否を正しく理解しておくことで、治療費の負担を軽減し、安心して治療を受けられます。

保険適用の基本原則

健康保険が適用される口腔外科治療は、『医学的必要性』が認められる場合に限定されます。つまり、機能回復や症状改善を目的とした治療が対象となり、美容や予防を主目的とした処置は原則として適用外となります。また、保険診療では使用する材料や治療方法が定められていて、これらの基準に従った治療のみが保険適用の対象です。

主な保険適用対象疾患

口腔外科領域で保険適用となる代表的な疾患は以下の通りです。

感染・炎症性疾患
親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)、歯が原因となる炎症や膿瘍
顎関節の疾患
顎関節症による痛みや開口障害、顎の動きに支障をきたす症状
腫瘍・嚢胞
口腔内の良性腫瘍、顎骨内の嚢胞
外傷
事故やスポーツによる口腔・顔面外傷、歯の脱臼や歯槽骨骨折
埋伏歯
正常に生えない親知らずや永久歯の抜歯

適用判断のポイント

保険適用の判断は、歯科医師による診断と医学的根拠に基づいて行われます。そのため同じ症状でも、その程度や患者さんの状態によって保険適用の可否が変わる場合があります。

とりわけ親知らずの抜歯では、痛みや炎症の有無、隣接する歯への影響などが判断基準となり、予防的な抜歯は適用外となるケースが多いです。このように、口腔外科治療の保険適用には明確な基準があり、治療前の診断で適用可否が決まります。

生命保険・民間の医療保険の請求について

「TOOTHACHE」と表示された電卓を手に持って見せている様子

口腔外科治療を受ける際は、生命保険の手術給付金や民間の医療保険が治療費の負担軽減に役立つかもしれません。ただし、保険会社や契約内容によって給付条件が大きく異なる点には注意が必要です。例えば、親知らずの抜歯の操作が顎骨に及ぶ場合のみ対象とする保険や、入院時の抜歯手術であれば適用となる特約もあります。とりわけ埋伏歯の抜歯は手術給付金の対象になりやすいケースが多いです。

また、炎症や感染があるときや他の歯を圧迫しているときなど、医学的必要性が認められる状況では給付の可能性が高まります。手術給付金の請求には、歯科医師による診断書や手術証明書が必要となります。治療前に加入している保険の約款を確認し、給付対象かどうかを保険会社に問い合わせておくと安心です。

親知らず抜歯の保険適用条件と費用目安

親知らずの様々な生え方が描かれたイラスト

親知らずの抜歯は口腔外科治療のなかでも比較的身近な処置ですが、保険適用の可否や費用は症状や治療方法によって大きく異なります。

保険適用となる具体的条件

親知らずの抜歯で保険が適用されるには、明確な医学的必要性が認められる必要があります。保険適用となる主な条件は以下の通りです。

  • 親知らず周辺に炎症や感染が生じている(智歯周囲炎)
  • 親知らずが隣接する歯を圧迫し、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えている
  • 親知らずが虫歯や歯周病にかかって痛みや腫れが生じている

一方、美容目的や歯列矯正の一環として健康な親知らずを抜く場合は、保険適用外となる可能性が高くなります。このように、症状の有無が判断のポイントとなります。

保険診療での費用内訳

保険診療で親知らずを抜歯する際の費用目安(3割負担)は、1本あたり約1,000〜3,000円程度となります。ただし、埋伏歯や難抜歯と呼ばれる複雑なケースでは、骨削除や切開が必要となるため1本あたり2,000〜5,000円程度の費用がかかる場合があります。これに加えて、初診料・再診料、レントゲン撮影、処方薬などの関連費用が追加される点も覚えておきましょう。また、CT撮影が必要なときは追加で約3,500円程度の負担となります。

自費診療との費用比較

自費診療を選択すると、より質の高い治療オプションを利用できます。保険診療との費用比較は以下の通りです。

治療内容 保険診療(3割負担) 自費診療
単純な親知らず抜歯 約1,000~3,000円 約5,000〜10,000円
難抜歯(骨削除・切開必要) 約2,000~5,000円 約10,000〜70,000円
CT撮影 約3,500円 約10,000〜20,000円
静脈内鎮静麻酔 適用外 約20,000〜50,000円

自費診療では、治癒促進材料の使用や吸収性縫合糸による抜糸不要の処置により、通院回数を抑えられる場合があります。また、術後の消毒処置や投薬、初診料・再診料などがすべて治療費に含まれていることも多いです。

顎関節症治療における保険適用の実際

顎関節症を示す頭蓋骨のイラスト

顎関節症は口が開けづらい、顎の音がする、食いしばりなどの症状を引き起こす疾患で、日常生活に支障をきたすケースが多く見られます。治療方法は症状の程度や原因によって選択され、保険適用の可否も治療内容によって異なります。

保険適用のスプリント療法

顎関節症の標準的な治療には、保険適用で受けられる『スプリント療法』があります。

保険適用(3割負担)の場合、費用は数千円から10,000円程度が目安です。スプリントを継続的に使用することで関節や筋肉の負担が和らぎ、顎の動きの改善が期待できます。通常は2〜3回の通院で調整を行い、症状の緩和を図る治療です。

自費治療の選択肢

顎関節症の保険適用外の治療として、『ボトックス注射』があります。

これは咬筋にボツリヌストキシン製剤を注射して筋肉の過緊張を緩和する治療です。両側の咬筋注射で30,000円程度の費用となり、1回の注射で2日から7日以内に効果が現れ、3ヶ月から6ヶ月持続する特徴があります。スプリント療法が合わない方や美意識の高い方に選ばれることが多く、短時間での施術が可能な点も利点となっています。

症状別の治療選択

軽度の症状では保険適用のスプリント療法から開始し、効果が不十分な場合に自費治療を検討するのが一般的な流れです。強い食いしばりや就寝中の歯ぎしりによる顎の痛みには、ボトックス注射が効果を示すケースもあります。症状の程度やライフスタイルに応じて医師と相談しながら治療方法を選択することで、症状の改善と経済的負担を両立しやすくなります。

保険適用外となるケースと注意点

保険適用外の例となるインプラント治療のイラスト

口腔外科治療のすべてが保険適用となるわけではありません。適用外となるケースを理解しておくと予期しない費用負担を避け、治療計画を適切に立てやすくなります。

美容・予防目的の処置

健康な親知らずを美容目的や歯列矯正の一環として抜歯する場合、保険適用外となります。痛みや炎症がなく、他の歯への悪影響もない状態での予防的抜歯も同様です。また、審美性の向上を主目的とした口腔外科手術は、機能回復ではなく見た目の改善が目的とみなされるため、原則として自費診療となります。

インプラント治療の適用条件

インプラント治療は通常保険適用外ですが、限定的な条件下では適用されることがあります。病気や第三者行為の事故により顎骨が広範囲に欠損した場合、または生まれつき3分の1以上の顎骨欠損や形成不全と診断された場合に限り、保険適用の可能性があります。虫歯や歯周病による歯の喪失は適用外となるため、注意が必要です。

混合診療への注意点

保険診療と自費診療を同時に行う混合診療は、原則として禁止されています。治療過程で保険適用外の材料や処置を希望すると、全体が自費診療扱いとなる場合があります。このため、治療開始前に保険適用範囲を明確にし、費用について十分な説明を受けることが重要です。治療方針を途中で変更する際も、保険適用への影響を確認しながら進める必要があり、医師とのコミュニケーションが求められます。

医療費控除と高額療養費制度の活用法

医療費控除や高額療養費制度の計算をイメージさせる電卓や貯金箱・紙幣

口腔外科治療の費用負担を軽減するため、医療費控除と高額療養費制度の活用は重要な選択肢となります。

医療費控除の基本知識

医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた際に所得控除を受けられる制度です。

親知らずの抜歯や顎関節症治療も対象となり、年間医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%)を超える部分について、最大200万円まで所得から控除されます。対象となる費用には、診療費や治療費のほか、治療のための交通費も含まれます。ただし、美容目的の処置や予防接種などは対象外となるため、注意が必要です。

高額療養費制度の利用

高額療養費制度は、ひと月の医療費自己負担が上限額を超えた際に超過分が払い戻される制度です。毎月の上限額は、加入者が70歳以上かどうかや、所得水準によって分けられます。

出典:『厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ

複数回の口腔外科手術を受ける場合や、同一世帯での医療費合算により上限額を超える場合には、この制度の活用が有効です。

必要書類と手続きの流れ

医療費控除の申請には、確定申告時に医療費控除の明細書と領収書の保管が必要です。高額療養費制度では、加入している健康保険組合への申請書提出が求められます。いずれの制度も申請期限があるため、治療を受けた際は領収書を確実に保管し、必要な手続きを期限内に行うことが重要です。

口腔外科医院選びで重要なポイント

口腔外科治療を受ける口元

口腔外科治療を安心して受けるためには、適切な医療機関選びが欠かせません。ここでは、重要な判断基準となる3つのポイントを紹介します。

専門医資格の確認

口腔外科専門医は、日本口腔外科学会が認定する専門資格です。全国の歯科医師約10万人のうち、口腔外科専門医は約5%しか存在せず、厚生労働省により標榜が認められた専門家として位置づけられています。

出典:『令和2年3月 一般社団法人日本歯科専門医機構歯科医療の専門性に関する協議・検証事業報告書

専門医資格を持つ医師は、6年以上の専門研修を経て筆記・口頭試験、手術実地審査などの厳格な認定過程を経ていて、複雑な症例にも対応できる豊富な臨床経験と技術を有しています。とりわけ難症例の親知らず抜歯や顎関節症治療では、専門医による診断と治療が安心につながるといえるでしょう。

費用説明の透明性

保険適用の可否や治療費用について、事前に明確な説明を行ってくれる医療機関を選ぶことが重要です。保険診療と自費診療の違い、治療選択肢ごとの費用、追加処置が必要になった場合の対応など、詳細な情報提供があるかを確かめましょう。料金表をホームページで公開している医院や、初診時に費用について丁寧に説明してくれる医院は信頼性が高いといえます。

通院の利便性

口腔外科治療では術後の経過観察が重要となるため、アクセスのよさも考慮したい要素です。自宅や職場から通いやすい立地にあり、診療時間が生活パターンに合っているかを確認することで、継続的な治療を無理なく受けられます。

まとめ

口腔外科治療における保険適用は、医学的必要性に基づいて判断されます。親知らずの抜歯では炎症や感染の有無が重要な基準となり、顎関節症治療ではスプリント療法が保険適用の標準的な選択肢です。美容目的やインプラント治療の多くは適用外となるものの、医療費控除や高額療養費制度を活用することで費用負担を軽減できます。

治療を検討される際は、口腔外科専門医による適切な診断を受け、保険適用の可否や治療選択肢について十分な説明を求めるのが大切です。

東京銀座の『親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)』では、口腔外科専門医が在籍し、保険診療から自費診療まで幅広い選択肢を提供しています。透明性のある費用説明と患者さん一人ひとりの症状に応じた丁寧な診療を心がけ、安心して治療をお受けいただける環境が整っています。不安や疑問があるときは、お気軽にご相談ください。

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会