顎関節症の痛みや噛みづらさに、スプリント(マウスピース)は有効?
こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある【親知らず・顎関節症クリニック銀座】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
・親知らずの抜歯
・顎関節症の治療
・アスリートのための歯科治療

結論から言うと——有効なケースはありますが、単独ですべて解決する道具ではありません。 最新の臨床ガイドラインでは、慢性化した顎関節症(3か月以上)の痛みに対しては、運動療法や姿勢・セルフケア、行動療法(リラクゼーションや認知行動療法)をまず強く勧める一方、可逆的スプリントは「条件付き」で推奨度が低めという位置づけです。
一方で、短期的な痛みの軽減や関節雑音の改善が報告される研究もあります。ただし、効果の大きさにはばらつきがあり、研究の質も一様ではありません。コクランレビュー(2024)でも、スプリントが無治療より咀嚼時の筋痛を減らす可能性は示されつつ、全体としては確実とは言えないとまとめられています。
スプリントには種類があります
* スタビライゼーション・スプリント(ハードタイプ)
奥歯も含め全顎被覆の平坦な噛み合わせ面で、夜間装着が基本。筋・関節への負荷分散と歯の保護を狙います。短期での症状軽減が得られることがあり、ハードはソフトより症状改善が早いとする報告も。
* 前方位(前方誘導)スプリント
ディスクの前方転位(クリック)や急性の口が開きにくい状態(いわゆるクローズドロック)で短期に有用な場合があります。ただし長期連用は噛み合わせの変化(臼歯部開咬)などのリスクがあり、期間管理とフォローが必須です。
* ソフトタイプ(やわらかい素材)
使い心地は良い一方、症状改善はハードと同等〜やや劣る報告があり、症例選択が大切です。特にクレンチングと呼ばれる食いしばりタイプの方は症状が悪化することもあります。
スプリントでできることとできないこと
* できること:歯や関節の保護、筋活動の偏りをならす、痛みの緩和(短期)、睡眠中の歯ぎしりからの歯の保護。
* できないこと:生活習慣・姿勢・ストレスなど原因そのものの解消。単独での長期的完治は期待しすぎない方が現実的です。ガイドラインも運動療法やセルフケアを主役に据えています。
リスクと注意点
* 噛み合わせの変化(とくに部分被覆や前方位の長期装着で開咬など)。このため当院では原則「全顎被覆・夜間中心・短期評価」を徹底します。
* むし歯・歯ぐきのトラブル:清掃不良や長時間の唾液通気性低下でリスク上昇——ブラッシングと洗浄を毎日。
* 痛みが増す/合わない:装着初期に違和感が強い場合は早めに調整します。
当院の方針
1. 診断:問診・触診・開口量・関節音、必要に応じ画像を行い、筋痛型/関節痛型/円板転位などを分類。
2. まずはセルフケア+運動療法(顎・頸部のストレッチ、姿勢指導、食習慣の調整)を軸に。必要症例に限りスプリントを追加します(原則ハード全顎、夜間)。
3. 前方位スプリントは短期限定(目安2–6週間)で週〜隔週フォロー。目標達成後は離脱・縮小を検討します。
4. 評価は4–6週間で一度区切り。改善が乏しければ運動療法の質や睡眠・ストレス要因の見直し、他職種連携(理学療法・心理的アプローチ)を検討します。
よくある質問
* どのくらい装着する?:夜間中心。日中は症状・目的に応じ短時間に限定。初回は2–3週間連続→再評価。
* どのくらいで良くなる?:早い方で数週間。慢性化や生活要因が強い場合は運動療法の併用が鍵です。
* 前方位スプリントは?:短期のみ。長期連用は噛み合わせ変化のリスクがあるため当院では避けます。
参考情報
* BMJ 2023 CPG(Rapid Recommendations):慢性TMD痛では運動療法・手技療法・CBTを強推奨、可逆的スプリントは条件付き“推奨しない寄り”。
* Cochrane 2024:スプリントの効果は不確実性が高い。無治療より筋痛軽減の可能性は示唆、他治療との優越性は結論困難。
* スタビライゼーション:ハードとソフトは双方症状改善の報告、ハードが早期改善を示す研究あり。
* 前方位スプリント(ARS):DDWR/クローズドロックの短期改善に寄与する可能性。ただし長期連用でPOB等の不可逆変化報告が一定。短期使用+厳密フォローが前提。
* リスク:部分被覆や前歯部咬合挙上の長期使用→開咬・咬合変化の文献多数。全顎被覆・夜間中心・短期評価が安全。
マウスピースは、症状をやわらげるサポート役として役立つことがあります。
一方で、「マウスピースさえあれば治る」というわけではなく、生活習慣やセルフケアと組み合わせて取り組むことが大切です。
「私の場合はどうだろう?」と気になったら、まずはお気軽にご相談ください。
症状や生活スタイルに合わせて、一人ひとりに合った方法をご提案いたします。
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監修歯科医師
医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
- 〔院長略歴〕
- 鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
- 〔所属学会・所属団体〕
- 歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会

