Blogブログ
home ブログ 含歯性嚢胞のケース ― 定期検診のレントゲンで見つかった、痛みのない嚢胞

含歯性嚢胞のケース ― 定期検診のレントゲンで見つかった、痛みのない嚢胞

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある
【親知らず・顎関節症クリニック銀座(通称:オヤアゴクリニック)】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
・ 親知らずの抜歯
・顎関節症の治療
・アスリートのための歯科治療

親知らず抜歯を専門として行っていると、親知らずが起因した嚢胞性疾患に出会うこと、また他院から紹介を受けることがあります。その代表的なものが含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)です。

含歯性嚢胞とは

含歯性嚢胞は、まだ生えてきていない歯(埋伏歯)の歯冠を包み込むようにできる嚢胞です。
歯は、歯冠が完成した段階で「退縮エナメル上皮」という薄い膜に覆われています。何らかの原因でこの膜と歯冠の間に液体が溜まり、袋状に拡大したものが含歯性嚢胞です。つまり、炎症からできるのではなく、歯の発生過程に由来する(発育性の)嚢胞という点が特徴です。
* 頻度:歯原性嚢胞のなかで、根尖性歯周炎に由来する歯根嚢胞に次いで2番目に多い
* 部位:下顎の親知らず(下顎第三大臼歯)が最も多く、次いで上顎犬歯、上顎第三大臼歯
* 症状:基本的に無症状。痛みなく、ゆっくり進行します。大きくなると顎の骨が膨らむ、隣の歯が押されて傾く・移動する、歯根が吸収される、下顎では下歯槽神経を圧迫する、といった変化が現れます。感染を起こして初めて痛みや腫れとして自覚されることも少なくありません
* レントゲン所見:埋伏歯の歯冠を取り囲む、境界が明瞭な単房性(ひとつの部屋の)透過像。嚢胞壁が歯冠と歯根の境目(セメント-エナメル境)に付着しているのが典型像です

診断で最も重要なのは「鑑別」

画像所見が典型的であっても、それだけで確定診断にはなりません。埋伏歯の周囲に透過像をつくる疾患は含歯性嚢胞以外にも存在します。
* 歯原性腫瘍(エナメル上皮腫、特に単嚢胞型は画像上の鑑別が困難)
* 歯原性腫瘍(歯原性ケラト嚢胞、再発率が高く治療方針が変わる)
* 腺性歯原性嚢胞、歯根嚢胞、単純性骨嚢胞など
臨床診断と病理診断が異なれば、その後の治療方針も経過観察の間隔も変わります。 だからこそ、摘出した組織を病理検査に提出し、両者の一致を確認する工程が欠かせません。

今回のケース

60代の女性が、かかりつけ歯科医院の定期検診のレントゲンで含歯性嚢胞の疑いを指摘され、当院を受診されました。

歯冠を取り囲む嚢胞性疾患の所見が得られます。
嚢胞の摘出と親知らずの抜歯を同時に行い、摘出物を病理組織検査へ提出。病理診断の結果も、臨床診断通りの含歯性嚢胞でした。術後は麻痺もなく良好に経過しています。
当院では、嚢胞性疾患であっても、その他疾患との鑑別のために必ず病理組織検査に提出しています。「典型的だから大丈夫だろう」で終わらせないことが、患者さんの数年後を守ることにつながると考えています。
なお、含歯性嚢胞は10〜30代で見つかることが多い疾患です。今回のように60代で発見されるケースは、長期間、無症状のまま存在していた可能性を示しています。痛みが出ないということは、自覚症状をきっかけに受診することがない、ということでもあります。

定期的なレントゲン撮影を

含歯性嚢胞は、検診で偶然見つかることが多い、無痛で進行する疾患の代表格です。逆に言えば、定期的に撮影していれば見つけられる疾患でもあります。
* 親知らずが残っている方は、数年に一度はパノラマX線写真で周囲の骨の状態を確認する
* 「親知らずがあるが痛くないので放置している」場合も、痛みの有無は嚢胞の有無とは無関係
* レントゲンで指摘された場合は、CTによる三次元的評価が可能な医療機関で相談する
痛くないから問題がない、とは限りません。定期的にレントゲンを撮影し、担当の歯科医師に確認してもらいましょう。



オヤアゴ院長ブログ
https://ameblo.jp/kojima-dental
ご相談・ご予約は公式HPからどうぞ
親知らず・顎関節症クリニック銀座 公式サイト
https://ginza-oralsurgery.com/
無料LINE相談も実施中(予約対応もできます)
https://lin.ee/Bz8QkWi

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会