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顎関節症は何科を受診する?原因や治療法、受診の目安などを紹介
2025年12月12日

顎関節症は、顎関節に機能障害や痛み・違和感などが生じる疾患で、歯に問題がないケースもあるため、どの医療機関を受診すればよいのか分からない方もいるでしょう。顎関節症の治療は口腔外科で行われるのが一般的ですが、他の診療科の検討が必要になる場合もあります。
この記事では、顎関節症が疑われる場合に何科を受診すればいいのかや、受診の目安・治療法などを紹介します。顎関節症の治療について知りたい方は参考にしてください。
顎関節症は何科を受診する?

顎関節症で受ける医療機関の種類には、主に以下のものがあります。
- 歯科(一般歯科・口腔外科)
- 整形外科
- 耳鼻咽喉科
- その他の診療科
それぞれの診療科について解説します。
歯科(一般歯科・口腔外科)
顎関節症の治療は、基本的には口腔外科で行われることが多いですが、普段通っているのが一般歯科の場合は、一度相談してみるのもよいでしょう。
口腔外科は歯に限らず、顎周辺の幅広い疾患を専門にしているため、顎関節や筋肉の問題によって引き起こされる顎関節症は、口腔外科で治療されるのが一般的です。また顎関節症は、症状によっては外科手術が必要になるケースもあります。どこを受診したらいいのか分からない場合は、口腔外科が併設されている一般歯科を選択するのがおすすめです。
整形外科
外傷が原因の場合、整形外科で顎関節症の治療が受けられる場合があります。転倒や事故などによる外的損傷があると、外傷性顎関節炎を引き起こして顎に痛みや開口障害が起こる場合があります。
整形外科では外科手術によって外傷性顎関節炎の治療を行うこともありますが、顎関節症を伴う場合は口腔外科の受診が必要になるケースが多いです。先に口腔外科を受診すれば、必要に応じて整形外科への紹介を受けられます。
耳鼻咽喉科
顎関節症で耳の症状がみられる場合は、耳鼻咽喉科で耳に異常がないことを確認する必要があります。顎関節症では、耳鳴りや耳の痛み・詰まり、めまいなどの症状がみられるケースがあるため、原因が顎関節症か分からない場合は一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳鼻咽喉科を受診した結果、口腔外科の受診を勧められるケースもあれば、顎関節症ではない他の疾患が原因だった場合に口腔外科から他の診療科への紹介を受ける場合もあります。
その他の診療科
その他、症状に応じて精神科・心療内科や神経科の受診が必要になるケースがあります。これらの診療科は顎関節症の治療は取り扱っておりませんが、顎関節症が原因で耳鳴り・めまいなどの症状がある場合や、ストレスによるその他の症状がある場合に受診が検討されます。
特にうつ病は顎関節症と深い関係があり、顎関節症を放置するとうつ病のリスクが高まるだけではなく、お互いに悪化させる恐れがあるため、早めの対処が必要です。
顎関節症の受診の目安

以下に顎関節症の症状をまとめました。1つでも当てはまる方は、受診を検討しましょう。
- 開口時に顎の痛みや違和感がある
- 口が開けづらい、閉めづらい
- 顎から異音がする(カクカク・ミシミシ・ジャリジャリなど)
- 口を動かすと顎に痛みが生じる
- 側頭部に痛みや違和感がある
- 耳に痛み・閉塞感・聞こえづらさがある
- 目の奥の痛みや、めまい・眼精疲労がある
- 頭痛や、肩・首のコリなどの身体症状がある
- 噛み締めると顎が痛む
- 顎が外れることがある
顎関節症では、顎のほかにも耳・頭・目の奥などに痛みが生じたり、肩や首のコリを感じたりする場合があります。原因が顎関節症と気が付かない可能性もあるため、これらの異変が見られた場合は症状に該当する医療機関の受診をおすすめします。
顎関節症の原因

顎関節症の原因は、主に以下の5つです。
- 噛み合わせの乱れ
- 顎に負担をかける癖
- 歯ぎしり・食いしばり
- 姿勢が悪い
- 外傷
それぞれの原因について解説します。
噛み合わせの乱れ
噛み合わせが悪いと、咀嚼の際に顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こす原因になることがあります。噛み合わせの乱れを引き起こす要因はさまざまですが、放置すると頭痛・肩こりなどの全身症状や、虫歯・歯周病につながる恐れがあります。噛み合わせが原因で生じる顎関節症の場合、再発を防止するための歯列矯正も選択肢のひとつです。
顎に負担をかける癖
顎関節症は、以下のように顎や歯並びに影響を与える癖が原因で生じる可能性があります。
- TCH(歯列接触癖)
- 頬杖
- 食べ物を口の片側だけで食べる
- 爪や指を噛む
- うつ伏せ寝
TCHは歯列接触癖のことで、上下の歯が常に当たっている状態を指します。これらの習慣は顎に頻繁に負荷をかけたり、偏った力を加えたりするため、顎関節症のリスクを高める要因です。癖の場合は、気付いたときにやめるように意識しましょう。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節症や顎関節の運動障害・痛み・違和感の原因になる可能性があります。また、歯並びが乱れたり、歯の欠け・ヒビを引き起こす恐れもあり、口内環境の悪化につながります。歯ぎしりや食いしばりは無意識のケースも多く、特に寝ているあいだに生じる場合は対策が難しいため、改善には治療が必要です。
姿勢が悪い
猫背や前のめりの姿勢でいることが多い方は、顎関節症になるリスクが高まります。特にスマートフォンやパソコンを日常的に使用する方は、顎を前に突き出す姿勢になりやすいため、顎が歪む原因になります。顎に物理的な負荷をかけなくても歪みが生じる可能性があるため、注意しましょう。
外傷
外傷によって顎に強い力がかかると、顎関節症になる恐れがあります。転倒・事故・スポーツなどによって顎に大きな負荷がかかると、皮膚や粘膜などの周辺組織の損傷や顎骨の脱臼・骨折、歯の損傷を引き起こす場合があります。外傷が原因で生じる顎の炎症は外傷性顎関節炎といい、痛みや開口障害などを伴います。特に、ボクシングやバスケットボールなどのスポーツは顎を怪我しやすいため、注意が必要です。
顎関節症の治療法

顎関節症では、以下の治療が行われます。
軽度の場合
軽度の顎関節症で選択される治療法は以下の通りです。
薬物療法
顎関節症の薬物療法は、主に痛み止めの目的で行われます。非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニン・イブプロフェンなど)や塗り薬、貼り薬のほかに、近赤外線レーザーや電気刺激を用いる方法があります。ただし、顎関節症の薬物療法は根本治療ではないため、痛みを軽減しながら放置しないよう早めに対処することが大切です。
マッサージ
軽度の顎関節症に対するマッサージは、自宅でできるセルフケアのひとつです。側頭筋や咬筋など、痛みがある筋肉を指で円を描くように優しくほぐすことで、筋肉の緊張が緩和されて痛みが軽減できる可能性があります。ただし、自己流のマッサージは症状を悪化させる恐れがあるため、具体的な方法については医師に指導を受けることをおすすめします。
原因となる癖の改善
顎関節症が軽度の場合、原因となる癖を改善すると症状が緩和されるケースがあります。顎に負担がかかる癖を放置していると、症状が悪化する可能性があるため、軽度・重度に関わらず癖を改善することが重要です。ただし、癖が原因で噛み合わせに問題が生じている場合、症状が軽減されてもその後悪化するリスクがあるため、癖を改善したうえで顎関節の不具合を治療する必要があります。
中等度・重度の場合
中等度・重度の顎関節症で選択される治療法は以下の通りです。
歯列矯正
噛み合わせの乱れが顎関節症の原因になっている場合は、歯列矯正が選択されることがあります。
前歯の噛み合わせが悪い開咬や、噛み合わせが深い過蓋咬合、位置によって上下の歯の噛み合わせの前後が異なる交叉咬合などは、特に顎関節症を引き起こしやすいとされています。不正咬合が原因で生じている顎関節症の治療のためには、根本的に歯並びを改善する必要がありますが、歯列矯正は完了までに時間がかかるため注意しましょう。
マウスピース療法
顎関節症のマウスピース療法には、顎のズレを正しい位置に保ったり、歯ぎしり・食いしばりによる顎や筋肉へのダメージを軽減させたりする効果が期待できます。
主に、噛み合わせを調整して顎関節や筋肉の負担を和らげるためにはスプリント、歯ぎしりや食いしばりの衝撃を緩和するためにはナイトガードと呼ばれるマウスピースが使用されます。スプリントとナイトガードには、それぞれ複数の種類があるため、市販のマウスピースではなく治療を受ける歯科医院で作製してもらいましょう。
外科的処置
顎関節症がマウスピース療法やその他の治療で改善できなかった場合、外科的処置が必要になる可能性があります。状態によっては骨を削ったり、顎関節と他の組織との癒着を剥がしたりする必要があり、普通の一般歯科では取り扱っていない治療が必要になるケースもゼロではありません。
顎関節症が悪化すると、顎関節脱臼や顎関節強直症などの顎関節疾患を引き起こす恐れがあり、場合によっては人工顎関節への置換が必要になることもあります。
顎関節症の治療の費用相場

顎関節症の治療で行われるマウスピース療法の費用相場は、3割負担で3,000〜8,000円程度です。
薬物療法であればそれよりも安く受けられるケースが多いですが、歯列矯正や外科的処置が必要な場合は数十万円以上かかる場合もあり、特に歯列矯正は100万円以上かかることもあります。歯列が乱れているほど治療期間が長くなり、治療費も高額になる傾向があるため、顎関節症の予防のためにも早めに歯列矯正を検討することが大切です。
顎関節症を放置するとどうなる?

顎関節症を放置すると、症状や噛み合わせの悪化のほか、全身症状につながる恐れがあります。
軽度の顎関節症の場合、セルフケアで症状が緩和されるケースもありますが、これは痛みや炎症が一時的に治まったためであり、顎関節や筋肉の異常が改善されたわけではないため、再発する可能性があります。症状が軽度でも、放置することで日常生活に支障をきたすまで悪化する場合もあり、顎関節症による痛みや口の開けづらさがストレスとなり、うつ病や自律神経失調症に発展するリスクも否定できません。
顎関節症の原因となる癖や歯ぎしり・食いしばり、歯列の乱れなどは、予防のためにも早めに改善することが大切です。
顎関節症のセルフケアや自分でできる対処法

ここからは、顎関節症のセルフケアや自分でできる対処法を紹介します。
食べ物は柔らかく・小さくして食べる
顎関節症の際の食事は、食べ物を柔らかく、小さくして食べましょう。硬い食べ物は顎に負担をかけ、症状を悪化させる恐れがあります。また、無理矢理口を開けることを避けるためにも、大きな食べ物はできるだけ小さく切って口にしてください。
口を大きく開けないようにする
顎関節症では、日常生活で口を大きく開ける行為を控える必要があります。大笑いは避け、あくびの際は手で顎を支えるようにしましょう。歯科治療は口を大きく開けている時間が長いため、顎関節症の場合は歯科医師にその旨を必ず伝えてください。
頬杖や前傾姿勢は気が付いたタイミングでやめる
頬杖や前傾姿勢が癖づいている場合は、気が付いたタイミングでやめるように意識しましょう。これらの癖が習慣になっていると、無意識のうちに顎に負担がかかることがあります。
頬杖は、椅子に深く腰掛け、肩甲骨を閉めて胸を張る姿勢を保つことで改善できる可能性があります。前傾姿勢になりがちな方は、モニターの画面を高めに配置すると姿勢が正しやすくなります。
歯ぎしりや食いしばりは早い段階で治療する
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節症の有無に関わらず早めに治療しましょう。
頭痛や肩こりなどの身体症状や知覚過敏のリスクがあり、特に片側のみ食いしばる癖がある方は、顎の筋肉が不自然に発達して顔が歪む恐れがあります。歯ぎしりや食いしばりはストレスが原因になっている可能性があるため、生活習慣や癖の改善のほかにストレス対策も必要です。
状況に応じて冷やす・温める工夫をする
顎関節症のセルフケアでは、状況に応じて患部を冷やす・温める工夫をしましょう。顎関節症には、強い痛みと炎症を伴う急性期と、痛みが緩和される慢性期があります。
急性期は、氷嚢やタオルに包んだ保冷剤などを使用して患部を冷やし、炎症を落ち着かせましょう。反対に慢性期では、蒸しタオルや温湿布などを使用して患部を温めることで血行が良くなり、筋肉の緊張が和らぎます。ただし、冷やす・温める方法は一時的な対処であるため、放置せずに適切な治療を受けることが大切です。
まとめ
顎関節症は主に口腔外科で治療が受けられますが、他の疾患である可能性や原因が分からないなど、自己判断が難しいケースも考えられます。その場合は整形外科や耳鼻咽喉科など、症状に合わせた医療機関を受診し、そこから口腔外科を紹介してもらうことも可能です。顎関節症は日本人にとって身近な疾患であるため、発症した際にすぐに掛かれる口腔外科を見つけておきましょう。
親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)は、顎関節症の治療を専門とする歯科クリニックです。丁寧なカウンセリングと精密な診断を通し、顎関節症の原因に着目することで、患者様一人ひとりに合わせた治療をご提案いたします。顎の動きに異常がある方や、違和感・痛みがある方は、一度当院にご相談ください。
監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
