
Blogブログ
横向きに生えた親知らずは抜くべき?判断基準と抜歯の流れ
2025年12月12日

親知らずが横向きに生えていると歯科医院で言われて、不安を感じている方はいませんか?「今は症状がないから大丈夫」とすぐに治療をせずに放置してしまうと、将来的に思わぬトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、親知らずが横向きに生える原因から、放置した場合のリスク、抜歯の必要性の判断基準、実際の治療の流れまで詳しく解説していきます。親知らずの抜歯を検討している方や、横向きの親知らずがあって心配している方は、ぜひ参考にしてください。
なぜ親知らずは横向きに生える?

親知らずは通常、他の歯と同じようにまっすぐ生えてくる歯です。しかし、現代の人では親知らずが横向きや斜めに生えるケースが増えている傾向があります。なぜこのような現象が起こるのか、その原因を見ていきます。
顎が小さくてスペースが足りないから
親知らずが横向きに生えてしまう主な原因は、顎の大きさが足りないことです。柔らかい食べ物を食べることが多くなったことで、現代人の顎は昔の人と比べると小さくなってきています。しかし、歯の大きさは変わらないため、一番最後に生えてくる親知らずのスペースが不足してしまいます。
顎の骨が小さいと、親知らずが生えようとしても、まっすぐ上に向かって生えることができません。その結果、横向きや斜めに生えてしまうのです。特に下顎の親知らずは、スペース不足の影響を受けやすく、横向きに生える割合が上顎に生えた場合と比べて多くなっています。
遺伝や骨の形が影響するから
親知らずの生え方には、遺伝的な要因も関係しています。両親や祖父母が横向きの親知らずをもっていた場合、同じような生え方をする可能性があります。顎の骨の形や大きさ、歯の大きさなどは遺伝によって受け継がれるためです。
また、アジア人は西洋人と比べて頭蓋骨の形が異なり、歯が並ぶスペースが狭い傾向があります。このような骨格の特徴も、親知らずが横向きに生える要因となっているでしょう。遺伝的な要因は変えることができませんが、親知らずの状態を早めに確認し、適切な対処をすることで、将来的に起こり得るトラブルを防ぐことは可能です。
横向きの親知らずを放置するリスク

横向きの親知らずを放置すると、さまざまなリスクを高める可能性があります。症状が出てからでは大がかりな治療になることもあるため、今のうちにどのようなリスクがあるのかを理解し、早めに歯科医院を受診して対処することが大切です。
隣の歯まで虫歯になってしまう
横向きに生えた親知らずと隣の歯の間には、食べかすが詰まりやすい隙間ができます。生じた隙間は歯ブラシが届きにくく、汚れを取り除くことが難しいため、虫歯になりやすくなるでしょう。
さらに親知らずだけでなく、隣の歯(第二大臼歯)まで虫歯になってしまうことがあり、場合によっては両方の歯を失うリスクもあります。第二大臼歯は、食べ物を噛み砕く重要な役割をもつ歯です。第二大臼歯を失うと、噛む力が弱くなり、消化にも影響が出てくるため放置せずに早めの対処が大切になります。
歯周病になりやすくなる
親知らずが横向きに生えると隣の歯との間に隙間ができるため、汚れがたまりやすく、細菌が繁殖しやすい状態です。細菌が増えて歯茎に炎症が起こると、歯周病につながります。
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには、すでに進行していることが多い病気です。歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、健康な歯まで失う可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、歯科医院で早めに治療を受けることをおすすめします。
歯茎が腫れて痛みを繰り返す
横向きの親知らずは、部分的に歯茎に覆われていることが多く、その隙間に細菌が入り込んで炎症を起こしやすいのが特徴です。炎症が起きると、歯茎が腫れて強い痛みが出ることがあります。膿が出たり、口が開きにくくなったり、発熱することもあるでしょう。
一度治まっても、原因となる親知らずがある限り、繰り返し症状が出ることが多いです。症状が出るたびに抗生物質を飲んで対処していても、根本的な解決にはなりません。歯科医院できちんと治療を受けることを検討しましょう。
顎の中に袋(嚢胞)ができることがある
横向きに埋まっている親知らずの周りに、嚢胞(のうほう)という液体がたまった袋ができることがあります。嚢胞は痛みがないことが多いため、気づかないうちに大きくなってしまうことも少なくありません。大きくなった嚢胞は、顎の骨を溶かしてしまったり、神経を圧迫したりすることがあります。
放置すると、まれに顎の骨に影響を与え、顔の変形や神経麻痺を起こすこともあります。その場合、手術が必要になることもあるため、歯科医院での定期検診を欠かさないようにしましょう。
妊娠中に急に痛くなることがある
妊娠中はホルモンバランスの変化で、これまで症状が出なかったのにもかかわらず、歯茎が腫れて痛みが出ることがあります。妊娠中は使える薬が限られるため、対処が難しくなります。さらに妊娠中期から後期にかけては、お腹が大きくなって積極的な歯科治療を受けることが困難です。
また、授乳中も薬の使用に制限があるため、将来妊娠を考えている方は、早めに親知らずの治療について相談しておくことをおすすめします。
横向きの親知らずは抜くべき?残すべき?

横向きの親知らずがあると診断されたとき、必ずしも抜歯が必要だとは限りません。ここでは、抜歯が必要な場合と、残しても問題ない場合について解説します。
こんな症状があれば抜歯が必要
横向きの親知らずで、抜歯の検討が必要な症状は以下のとおりです。
- 痛みや腫れを繰り返している
- 隣の歯を押していて歯並びに影響がある
- 虫歯になっている、または虫歯のリスクが高い
- 歯茎の炎症を繰り返している
- レントゲンで嚢胞が見つかった
- 矯正治療を予定している
- 妊娠を計画している
これらの症状がある場合は、早めの抜歯を検討しましょう。特に痛みや腫れを繰り返している場合は、放置すると症状が悪化する可能性があるため、歯科医師と相談して適切な時期に抜歯するとよいです。
問題なければ残してもよいケース
横向きの親知らずでも、残してもよいケースがあります。具体的なケースは以下のとおりです。
- 完全に骨の中に埋まっていて、今後も出てくる見込みがない
- 隣の歯や歯並びに影響を与えていない
- 痛みや腫れなどの症状が一度もない
- 定期検診で問題がないと判断されている
ただし、横向きの親知らずがある場合は、定期的な検診を受けて状態を確認することが大切です。今は問題がなくても、将来的にトラブルが起こる可能性があるため、歯科医師と相談しながら経過を見守りましょう。
親知らずの抜歯の流れ

横向きの親知らずの抜歯は、通常の歯の抜歯よりも複雑な処置になることが多いです。ここでは、実際の抜歯がどのような流れで行われるのか、詳しく解説していきます。
検査で神経の位置を確認する
横向きの親知らずを抜く前に、レントゲンやCTで詳しい検査を行います。親知らずの位置や角度、根の形、周りの神経や血管との距離を確認して、抜歯で問題が生じないようにするためです。検査結果をもとに、抜歯の難易度や抜歯にかかる時間、リスクについて説明を受けます。
麻酔をする
表面麻酔を塗って歯茎の感覚を鈍くしてから、注射の麻酔を行います。麻酔が効いてくるまで数分待ち、効果を確認してから処置を始めるため、抜歯中に痛みを感じることはほとんどありません。
歯茎を切って骨を少し削る
横向きの親知らずは、歯茎を切開して歯が見える状態にしなければなりません。歯茎を切った後、親知らずの周りの骨を少し削って、歯を取り出しやすくします。骨を削る際は水で冷却しながら行うため、熱による影響は抑えられます。
歯を小さく分けて取り出す
横向きの親知らずはそのまま引き抜けないため、歯を頭の部分と根の部分に小さく分けてから取り出します。歯を分割することで、周りの骨や歯茎へのダメージを減らすことが可能です。すべての歯の破片を取り除いたら、取り残しがないかを確認します。
糸で縫ってガーゼで止血する
親知らずを取り出した後、傷口を洗浄してから歯茎を元の位置に戻して糸で縫います。縫った後は、30分ほどガーゼを噛んで止血し、血が止まったことを確認できたら抜歯後の注意事項について説明を受けます。
親知らずを抜いた後の過ごし方と注意点

親知らずの抜歯後は適切なケアをすることで、痛みや腫れを軽減し、順調な回復につながります。ここでは、抜歯後の過ごし方と注意点について解説します。
薬は飲みきる
抜歯後は痛みがなくても、抗生物質は最後まで飲みきることが大切です。薬を途中でやめてしまうと、傷口で細菌が繁殖して化膿する可能性があります。処方された抗生物質と痛み止めを歯科医師の指示通りに服用します。痛み止めは我慢せずに早めに飲むことで、痛みをコントロールしやすくなるでしょう。
麻酔が切れてから食事する
麻酔が効いている間は口の中の感覚がなく、熱いものを食べて火傷をしたり、頬や舌を噛んでしまったりする危険があります。麻酔は2~3時間で切れることが多いため、それまでは食事を控えましょう。麻酔が切れたことを確認してから、柔らかいものから食べ始めてください。
水分補給は問題ありませんが、ストローを使うのは避けましょう。ストローを使うと、吸う動作によって抜歯後の傷口にできた血の塊(血餅)が剥がれてしまい、回復が遅れる可能性があるためです。
柔らかいものを反対側で食べる
抜歯後数日間は、傷口に負担をかけないよう、柔らかい食事を心がけます。おかゆ、雑炊、ヨーグルト、プリン、スープなどがおすすめです。食事をする時は、抜歯した側と反対側で噛むようにしましょう。硬いものや辛いもの、酸味の強いものは傷口を刺激するため、1週間程度は避けます。
腫れたら冷やして安静に
腫れが気になる場合は、冷たいタオルや保冷剤を頬に当てて冷やしましょう。冷やしすぎると血行が悪くなり、治りが遅くなることがあるので、適度に冷やします。腫れは4~5日で自然に引いてくるので、この期間は安静に過ごすことが大切です。
枕を高くして寝ると、腫れが軽減されることがあります。横になるときは、抜歯した側を下にすると悪化する可能性があるため上にして寝るとよいでしょう。
うがいは優しく、傷口は触らない
抜歯当日は、舌や指で傷口を触ることを避け、強いうがいもしないようにしましょう。傷口にできた血の塊(血餅)が取れてしまうと、骨がむき出しになり強い痛みが続くおそれがあります。口をゆすぐときは、水を含んで優しく動かす程度にしましょう。歯磨きをする際も、抜歯した部分は避けて、他の歯を丁寧に磨いてください。
運動・お酒・タバコは控える
抜歯後数日間は、血行がよくなる行動を控える必要があります。控えるべき行動は以下のとおりです。
- 激しい運動
- 飲酒
- 長時間の入浴
- 喫煙
上記の行動は、出血を増やしたり、傷の治りを遅くしたりする原因となります。少なくとも激しい運動は3日程度、飲酒は2〜3日控えましょう。入浴はシャワー程度にとどめ、長風呂は避けます。特にタバコは傷の治りを著しく遅らせる可能性があるため、少なくとも1週間は控えることをおすすめします。
横向きの親知らずの抜歯にかかる費用

親知らずの抜歯を検討する際、費用も気になるポイントの一つでしょう。ここでは、保険適用の場合と自費診療の場合についてご紹介します。
保険適用で5,000円~10,000円程度かかる
横向きの親知らずの抜歯は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、抜歯自体の費用は5,000円〜10,000円程度です。これに加えて以下の費用がかかります。
- 検査費用(レントゲン・CT)
- 1,000円~3,000円程度
- 薬代
- 500円~1,000円程度
合計すると、6,500円〜15,000円程度かかるでしょう。ただし、親知らずの状態や検査内容によって費用は変わります。難易度が高い抜歯の場合は、大学病院などの専門機関を紹介されることもあり、その場合は別途紹介状の費用がかかります。
自費診療になるケースと費用
以下のようなケースでの親知らず抜歯は、自費診療となります。
- 矯正治療の一環として抜歯する場合
- 全身麻酔を希望する場合(歯科恐怖症など)
- 静脈内鎮静法を希望する場合
- 腫れや痛みを軽減したい、治癒を早めたい場合
- 通院回数を少なくしたい場合
自費診療の場合、1本あたり60,000円〜80,000円程度かかることがあります。親知らずの抜歯に対して「怖い」「強い不安がある」という方は多く、どうしても抵抗が強い場合は、自費診療で静脈内鎮静法を使うことで、ウトウト眠っているような状態で抜歯を行うことが可能です。費用について不安がある場合は、事前に歯科医院に確認しましょう。
まとめ
横向きに生えた親知らずは、顎のスペース不足が主な原因で起こります。放置すると虫歯や歯周病、智歯周囲炎などのトラブルを引き起こす可能性があるため、症状がある場合は早めの対処が必要です。横向きの親知らずの抜歯は通常の抜歯よりも難易度が高く、外科的処置が必要になることが多いです。そのため、技術と専門知識を有する経験豊富な医師に相談するといいでしょう。
親知らず・顎関節症クリニック銀座(オヤアゴ銀座)では、日本口腔外科学会認定の口腔外科専門医が在籍し、他院で断られた難症例もご相談いただけます。横向きの親知らずでお悩みの方は、ぜひ一度親知らず・顎関節症クリニック銀座にご相談ください。
監修歯科医師
-
医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会) インプラント認定医
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
