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「クレンチング(歯ぎしり)による一時的な開口障害」 — 顎のロックの正体と、再発を防ぐためのポイント —
2025年10月17日
こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある
【親知らず・顎関節症クリニック銀座(通称:オヤアゴクリニック)】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
* 親知らずの抜歯
* 顎関節症の治療
* アスリートのための歯科治療

「朝起きたら口が開かない…」
そんな突然の症状に不安を感じる方は少なくありません。
本日は、クレンチング(歯ぎしり)による急性開口障害で来院された患者様の症例をご紹介します。
症例概要
患者様は社会人の女性の方。立場的に徐々に求められることが増えてくる時か仕事がすごく忙しいとのこと。
学生時代から起床直後に「口が開きにくい」ことが時折ありましたが、生活していくうちに自然に改善していました。
ところが社会人になってからは、朝の開口障害が頻発し、当日はいつも通り2時間経っても開かず、当院へご連絡いただきました。
来院途中、歩いているうちに徐々に開くようになり、到着時には2横指分の開口量を確認(正常範囲)。
X線にて骨折や強直症、クローズドロック(関節円板前方転移)の所見は認めませんでした。
考えられる原因
急性の開口障害にはいくつかの要因があります。
* 外傷による下顎頭や筋突起の骨折
* 関節強直症
* 感染性炎症
* クローズドロック(関節円板前方転移、復位なし)
* クレンチングによる咀嚼筋(特に咬筋)の拘縮 ← 今回の主因
今回のケースでは、咬筋付着部位に明確な硬結と筋緊張を認めたことから、
クレンチング(歯ぎしり・噛み締め)による筋肉の過緊張が原因と判断しました。
興味深い点
患者様が「クリニックに歩いて向かう途中で開いてきた」と話していた点。
これは、歩行運動による全身の血流改善と筋肉のリリース効果が働いた可能性が高いと考えられます。
顎周囲の筋肉は小さいながらも全身の筋肉連動の影響を受けやすく、
軽い運動でも症状が改善するケースがあります。
治療と今後の対策
* 習癖(TCH:Tooth Contacting Habit)の確認
* リテーナーを使用中であるため、クレンチングが強い時期はより硬いスプリントに変更を提案
* 筋緊張が強い場合はボトックス注射による筋弛緩療法も選択肢として説明
* 自宅でのセルフケアとして
→ 顎周囲のマッサージ
→ 開口練習
→ ランニングやウォーキングによるリリース
まとめ
本症例では、
* 骨折や強直症、クローズドロックなどの器質的異常なし
* クレンチングによる咀嚼筋の拘縮が主因
* 軽い運動で自然改善する傾向あり
という点から、筋肉性の一過性開口障害と診断しました。
顎関節症やクレンチングによる不快症状は、
「意識して緩める」こと、「生活の中で動かす」ことが何よりの治療になります。
気になる方は、スプリント療法やボトックスなどの専門的な対処も早めにご相談ください。
オヤアゴ院長ブログ
→https://ameblo.jp/kojima-dental
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監修歯科医師
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医療法人社団GRIT 理事長
〔院長略歴〕
親知らず・顎関節症クリニック銀座 院長
小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。
〔所属学会・所属団体〕
歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会 
