【顎関節症とボトックス】──筋肉の緊張をゆるめる新しい治療法

2025年10月7日

こんにちは。東京都中央区銀座5丁目にある【親知らず・顎関節症クリニック銀座】です。
当院は以下の3つに特化した歯科クリニックです。
・親知らずの抜歯
・顎関節症の治療
・アスリートのための歯科治療

「顎が痛い」「朝起きると 顎が重い」「口を開けるとガクッと鳴る」
そんな症状でお困りの方、実は関節そのものよりも筋肉のこわばりが原因になっていることがあります。

顎関節症にもタイプがある？
顎関節症は大きく５つのタイプに分類され、その中でもⅠ型（咀嚼筋障害型）は、
「咬筋（こうきん）」や「側頭筋（そくとうきん）」など、
噛むための筋肉のこりや過緊張が主な原因です。
このタイプでは、
* 朝起きた時にこわばる
* 食いしばるクセがある
* ストレスで首・こめかみまで痛む
といった症状がよく見られます。
実際、日本顎関節学会でも「咀嚼筋の過緊張や筋膜の痛みがⅠ型の中心的特徴」とされています。
関節が悪くなくても、筋肉のコリだけで顎の痛みは起こるのです。

ボトックスとは？
「ボトックス」と聞くと美容のイメージを持つ方も多いと思いますが、
もともとは神経と筋肉の信号を調整する医薬品です。
筋肉が常に緊張モードになってしまうと、
血流が悪くなり、疲労物質がたまり、痛みやコリが続いてしまいます。
ボトックスはその神経信号を一時的にゆるめ、
筋肉を「リラックスした状態」に戻してあげる──
まさに筋肉を休ませる治療なのです。

顎関節症への効果
世界的には、咬筋や側頭筋へのボトックス注射が、
筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する治療として研究されています。
実際の臨床研究では、
* 痛みが半分以下に減った
* 開口しやすくなった
* こめかみや頬の張り感が改善した
といった報告が多数あります。
また、食いしばり（ブラキシズム）が強い方においても、
夜間の噛みしめが軽くなったというデータがあります。

注意点と限界もあります
ただし、ボトックスは魔法の注射ではありません。
効果は３〜４か月ほどで少しずつ薄れていきますし、
原因が関節そのもの（円板損傷など）にある場合は適しません。
また、筋肉を使う力が一時的に弱くなるため、
「噛む力が少し落ちた」「頬がだるい」と感じることもあります。
このため当院では、
* 保存療法（マウスピースや理学療法）で改善しない場合
* 筋肉の過緊張が明確に見られる場合
に限って慎重に行います。

■ 当院の考え方
親知らず・顎関節症クリニック銀座では、
顎関節症の原因を「関節」と「筋肉」に分けて診断します。
ボトックス治療は、あくまで筋肉由来の痛みに対する一つの選択肢。
必要な場合には、筋電図測定や触診を行い、
過剰な緊張が見られる箇所にのみ最小限の量で注入します。
治療後は、ストレッチ指導やスプリント療法を併用し、
再発しにくい噛み方・使い方へと導いていきます。

■ まとめ
顎関節症は、必ずしも「関節が悪い」わけではありません。
筋肉の疲労やこわばりが、痛みの中心にあることも多いのです。
ボトックスは、
そんな筋肉を一時的に休ませることで、
痛みの悪循環を断ち切るサポート治療。
繰り返す顎の痛みや食いしばりにお悩みの方は、
ぜひ一度、筋肉の状態をチェックしてみてください。

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